Doctors Me(ドクターズミー)- 女性にとって重要指標プロラクチン 検査異常数値からわかる症状

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プロラクチンは特に女性における月経や授乳などに関わる大切なホルモンです。 そんなプロラクチンを検査すべき症状とは? また検査値はどのように捉えれば良いのでしょうか? 一つずつ見ていきましょう。

要チェック項目

□プロラクチンはホルモンであり、主に女性の生殖に関係する □異常値の原因は内服薬や腫瘍などである □検査値が異常に高い場合には特に注意が必要

プロラクチンとは何か?

プロラクチンは脳下垂体という箇所から分泌されるホルモンで、生殖に関与する作用を発揮します。しかし、その作用は男性においては著明ではなく、ホルモンの分泌によって現れる作用の多くは女性特有のものとなっています。 プロラクチンは主に出産後の授乳期において、乳汁を分泌する役割を果たします。また妊娠中においてはプロラクチンが高まることによって排卵が抑制され、妊娠状態を維持させる作用があります。 その他、母体が赤ちゃんを守りたいと感じる、所謂「母性」の誘因であるとも言われています。

プロラクチンの検査

原因が明らかでないのに慢性的に続く頭痛や視力異常、プロラクチンが乳汁を分泌させるホルモンであることから、妊娠していないにも関わらず乳汁が漏れ出るなどの症状が見られた場合にプロラクチンの検査が推奨されます。 また、プロラクチンが過剰に分泌されると排卵が抑制され、妊娠しづらくなってしまいます。そのため、月経不順を伴う不妊に悩む女性への治療の一環として検査が行われる場合もあります。 検査は血液採取によって、比較的簡単に行えます。ただし、プロラクチン分泌の仕組みなどを踏まえて、月経周期初期の日取りで起床から数時間後、30分程度の安静を経てから行うのが良いとされています。 その他、避妊薬や高血圧治療薬、抗うつ薬などは検査結果に影響を与える可能性があるため、事前に医師や看護師に伝えるようにしましょう。 基準値は医療機関によって多少異なりますが、大まかに閉経前の女性で6.1ng/mlから30.5ng/ml、男性で3.6ng/mlから12.8ng/mlとなっています。

プロラクチンが高い場合

プロラクチンの分泌異常で特に問題となるのがプロラクチンが異常高値の場合です。プロラクチンの過剰分泌は排卵を抑制し、月経不順を誘発させて不妊を招きます。 そのため、プロラクチンの異常高値は特に女性において精査をする必要があります。 本項ではそんなプロラクチンの異常高値を原因面から見ていきます。

視床下部付近の腫瘍や炎症

プロラクチンは本来、視床下部にて分泌を抑制されています。しかし、この視床下部付近に腫瘍や炎症の発生といった異常が起きると、分泌抑制機能は当然に低下してしまいます。 結果、プロラクチンは異常高値を示すことになります。

プロラクチン産生腫瘍

脳下垂体にプロラクチンを産生する腫瘍、プロラクチノーマが現れることがあります。 プロラクチノーマは癌ではなく良性腫瘍のため、それ自体を心配する必要はありませんが、プロラクチンが過剰になることで身体に異常をきたす原因となります。

薬剤による異常

神経伝達物質であるドパミンはプロラクチンの分泌を抑制する作用があります。 そのため、ドパミンを阻害するタイプの薬剤、例えば抗精神病薬であるクロルプロマジンなどを服用している患者において、プロラクチンが異常高値になる場合があります。

甲状腺機能低下症

甲状腺の機能が低下するとプロラクチンの分泌などを調節する甲状腺刺激ホルモン放出ホルモンが減少し、ホルモンバランスの乱れが発生します。結果、プロラクチンが異常高値を示すことがあります。

プロラクチンが低い場合

『プロラクチンは低ければ低い方が良い』と言う人も居るようですが、プロラクチンの異常低値は特に女性の妊娠に関して良くない兆候であることが分かってきています。 プロラクチンの異常低値は何を示唆するのでしょうか? ポイント別に見ていきたいと思います。

脳下垂体機能低下による異常低値

プロラクチンを分泌する脳下垂体が動脈血栓などによって機能不全に陥るシーハン症候群などではプロラクチンが極端に減少します。 こういったプロラクチンの減少は無月経を招いたり、妊娠の適切な維持ができなくなったりと妊娠そのものを大きく左右します。 また、女性においては出産時の出血によってシーハン症候群になることもあり、そうすると育児の段階でプロラクチンの量が不足するために乳汁が十分に産生できないという問題が発生する場合もあります。

甲状腺機能亢進症による異常低値

甲状腺機能亢進症によって甲状腺刺激ホルモン放出ホルモンが過剰になるに伴い、プロラクチンの分泌は抑制される場合があることが分かっています。 つまり、検査によってプロラクチンが異常低値を示した人は甲状腺機能亢進症である可能性が考えられるのです。 この甲状腺機能亢進症があると、流産や早産が増加するという指摘があるため、プロラクチンの検査から甲状腺機能亢進症が疑われた場合には妊娠、出産のためにも積極的に治療を行いましょう。

プロラクチンの分泌異常の治療

プロラクチンの分泌異常には明らかな原因があることも少なくないため、原因の除去による治療が一般的です。順に解説していきます。

腫瘍および視床下部障害によるプロラクチン異常高値の治療

プロラクチン産生腫瘍が原因の場合はまずドパミン系に作用する薬を投与し、プロラクチンの産生を抑える治療を検討します。 この治療によってプロラクチン産生腫瘍自体の縮小も期待できるとされています。また、視床下部付近に炎症などが存在する場合にも同様の処置が有効な場合があります。 ただし、プロラクチン産生腫瘍が大きかったり患者が妊娠を希望している場合には外科的な処置を検討します。

甲状腺機能障害によるプロラクチン異常値の治療

甲状腺機能低下症によってプロラクチンが異常高値となっている場合には機能低下の原因をキチンと鑑別した上で甲状腺ホルモンの投与を行います。 反対に甲状腺機能亢進症によってプロラクチンが異常低値になっており、何か身体に支障が生じている場合には甲状腺ホルモンの産生を抑える薬剤を服用します。 また放射性ヨードカプセルを内服する治療や外科的に甲状腺を切除する手術を行う場合もあります。

薬剤によるプロラクチン異常値の治療

薬剤によるプロラクチン異常は薬剤の中止による対処が大原則です。もし中止できない薬剤を服用している場合には代替できる薬剤を検討します。医師や薬剤師とよく相談しましょう。

プロラクチンは女性に重要

プロラクチンは女性の生殖にとても大切なホルモンで、適切に分泌されることで妊娠や授乳などが可能となります。 そのため、もし検査をして異常値となった場合には原因を確かめ、適切な治療をする必要があります。 異常値の原因を究明することは治療法の選択において大きな要素となりますので、医師の判断に従い追加検査など適切に行うようにしましょう。 (監修:Doctors Me 医師)