Doctors Me(ドクターズミー)- うつ病で入院って不安...誤解されがちな入院生活と気になる費用

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うつ病を患ってしまった方は、入院を推奨されることがあります。 しかし入院を勧められると自分が深刻な状況なのかとショックを受けてしまう方もいるかもしれませんし、費用やどんな治療をするのかも気になります。 今回はそのあたりを含めて、うつ病の入院について紹介しましょう。

要チェック項目

□入院が推奨される理由は様々 □入院中は規則正しい生活 □入院費用は高額療養制度で負担減

うつ病で入院が推奨される理由

うつ病は基本的に薬での治療が行われますが、場合によっては入院を推奨される場合もあります。その主な理由としては以下の通りです。

不眠、食欲減退などで衰弱状態にある

うつ病の最初の症状として、眠れなくなるというものがあります。そして次第に何事に対してもやる気がなくなり、中には食事をとらずに水だけを飲んで1日が終わってしまうという方もいるそうです。 このように眠れない、食べられないの状態が続いてしまうと、当然体は弱ってしまいますよね。 そうなると命にもかかわってしまいますので、自宅での投薬治療ではなく、入院での治療が行われることがあります。

薬の副作用が出てしまう

うつ病になると抗うつ剤や抗不安剤、睡眠薬など、さまざまな薬を処方される場合があります(病院によって処方される薬が変わることも)。 そういった場合、やはり副作用が心配になってきますよね。患者さんの体質によってはこの副作用がかなり深刻になってしまうこともあり、場合によっては入院して点滴による投薬を行うことがあります。

うつ病が慢性化している

うつ病はしっかりと治療をすれば完治する病気です。しかし初期段階の症状が軽い時に治療を怠ってしまったり、うつ病の種類や原因によっては慢性化してしまうこともあります。 うつ病が慢性化してしまうと、今までの治療法の効果が薄れてしまうこともありますし、何より「いくら治療しても治らない」と悲観的になってしまう患者さんもいるそうです。 しっかりと治療をし、これ以上の慢性化を防ぐためにも、入院での治療が推奨されます。

家にいるのがストレス

1人暮らしの患者さんもうつ病が放置される可能性があるので危険なのですが、家族で暮らしている場合もまた別の問題が発生します。 うつ病になると、周りに人がいるだけでストレスになるという場合もあるからです。それがたとえ家族であっても…。1人の時間を増やしてあげるというのも、大事な治療の一環です。

うつ病での入院には自殺予防の観点も

といった感じで、あくまでうつ病を治療するための環境を用意するために入院が推奨されることがほとんどなのですが、もう1点だけ大きな理由があります。 それは「自殺の予防」です。毎年うつ病による自殺者が出ているというのは、ニュースなどで見ることもあるかと思います。 何事に対しても気力がなくなってしまううつ病ですが、実は死に対する行動力は恐ろしいほどの執念を見せます。 実際にうつ病の自殺率は15~25%とかなり高いですし、逆に自殺者の半数以上はうつ病を患っていたというデータもあるくらいです。 入院しているから絶対に安心というわけではありませんが、それでも最悪の事態に陥ってしまうことは少なくなるはずです。 また自殺者の大半は事前に何かしらのサインを出していることも多いので、ご家族の方はそれを見逃さないようにしてください。

自殺の兆候となる行動

・死をほのめかす言葉(マイナスな言葉)が多くなる ・周囲のことに無関心で、新聞やニュースなども見なくなる ・身辺整理を始めたり、思い出話が多くなる ・急に家族のことを思いやる ・調子が良くなってきたとき 特に調子が良くなってきたときが、最も注意すべきです。調子が良くなると行動力も出てきますが、その行動力が悪い方向に向かうことだってあるのです。 兆候は人それぞれですが、とにかくいつもと様子が違うことを始めたら、自殺を警戒すべきでしょう。

うつ病患者の入院生活

では実際に入院して何を行うのかというと、簡単にいえば「規則正しい生活」です。朝起きて、日中はゆっくりと過ごしつつ、食事もしっかりと摂り、夜には就寝する。このような生活を送ってもらいます。 入院当初はゆっくりと何もせずに過ごしてもらうことも多いでしょう。慣れてきたら昼に軽い作業をしてもらうこともあります。基本的にはこれに加えて、薬の服用やカウンセリングを行い、徐々にうつ病の改善を図ります。 これだけを見ると非常に単純なことかもしれませんが、数日〜数週間ほど続けると気分も和らいできて、次第に散歩を行うなど活発な行動も増えてくるそうです。

うつ病での気になる入院費用

とはいえ、入院となると費用が気になりますよね。なにせ入院している間は仕事ができませんし、できれば金銭的な負担はおさえたいもの。 大体うつ病患者の入院期間は平均して3~6か月ほどといわれていますが、その間にどれくらいの費用が掛かるものなのでしょうか。 だいたいどの病気で入院しても、平均的な入院費用は1~1.5万円/日くらいになるそうです。となると月に30~45万もの高額な入院費用が掛かってしまいますよね。 しかし高額療養費制度によって実質の負担はその3割になるため、実際に支払うのは9~13.5万程度。これでも家計には大きな負担ですよね。もっと安くならないものでしょうか。 実は高額療養費制度によってひと月当たりの入院費用には上限が決められています。上限額は所得によって変わるのですが、まとめると以下の通りです。 ・所得が370万以下の方…一律57,600円 ・所得が370~770万の方…80,100円+(医療費‐267,000円)×1% ・所得が770~1,160万の方…167,400円+(医療費-558,000円)×1% ・所得が1,160万より多い方…252,600+(医療費-842,000)×1% ここに書いてある医療費とは、保険が適用される前の料金のことを言います。もしあなたの所得が370~770万の間で、入院した際の医療費が30万円かかったとしましょう。 先ほどは3割負担になって支払いは9万円になると紹介しましたが、実際にはこの制度によって以下の計算となります。 80,100+(300,000-267,000)×1%=80,100+(33,000)×1%=80,100+330=80,430 80,430円がひと月の上限金額になります。 実質の負担額が90,000から80,430円に。9,570円安くなりました。この上限金額を超えた分は、退院して支払いが終わった後、ご自身が加入している公的医療保険に申請をすれば、指定した口座に振り込んでもらえます。 今回の例では医療費が30万円でしたが、この制度によって40万や50万を超える医療費になっても、負担上限額が大体8~9万円ほどになるというのは大きいですね。 ただし個室や2人部屋に入院になった場合、「差額ベッド代」が発生し、こちらは高額療養制度の適用外になりますのでご注意を。

うつ病の入院は暗いイメージがある?

さて精神科の入院というと、なんとなく「暗い」「殺伐としている」と思っている方も多いかもしれませんね。 確かに入院病棟には「開放病棟」と「閉鎖病棟」があり、閉鎖病棟に行くと突然大声を上げる人や暴力的な人がいるというイメージもあるかもしれません。 ですが安心してください。入院の際は原則的に開放病棟に入ることになりますし、大部屋でもそういった他の患者さんに迷惑をかけるような人は一切いません。 また入院生活も、先ほど紹介した通り規則正しい生活が中心となります。調子が良くなれば散歩なんかも許可が出るので、思っていた以上にのんびりとした入院生活になるでしょう。 他の患者さんとのコミュニケーションをとることもあるかもしれませんが、皆さんテレビを見ながら談笑していたり、穏やかに過ごしている人の方が圧倒的に多いくらいです。 決して「暗い」や「殺伐としている」ような雰囲気は、まず無いといってもいいでしょう。 もし患者さんに自殺の兆候などが見られた場合は閉鎖病棟へと移動してもらうことがあるかもしれませんが、それでもきちんと同意を得たうえで移動してもらい、閉鎖病棟にずっと閉じ込めっぱなしということもありません。 もちろん症状が軽く、通院だけで治療が可能なら入院しないに越したことはありません。ですが通院しても調子が全然良くならないというのなら、いっそ多い入院してみた方が事態が好転するかもしれませんよ。

うつ病での入院=深刻な状況というわけではない

やはりうつ病で入院というのは、できれば避けたいものだと思います。 仕事の心配ももちろんあるかもしれませんが、何より自分のうつ病が深刻な状況だと認めたくないですからね。 しかし入院が推奨される理由には様々なものがあり、入院生活だってそれほど暗いものではありません。 今回の記事で入院に対する偏見が少しでも払拭できれば幸いです。 (監修:Doctors Me 医師)