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 ヘルスケアメディア「Doctors Me」は、2014年にQ&Aサービスからメディア化に舵を切り、約2年で流入数を約30倍に増やし、月間PVも約2,000万と大きな成長を見せている。同社は具体的に、どのような取り組みを進めてきたのか。Faber Companyの副島啓一氏が、同メディアを運営するサイバー・バズの田中啓介氏にSEOの観点から尋ねた。

■ユーザーを徹底的に満足させられるコンテンツが勝つ

 ヘルスケアメディア「Doctors Me(ドクターズミー)」はコンテンツの拡充とあわせて、SEO対策を進めることで大きな成長をしている。具体的に、どのような施策を展開してきたのか。Faber Companyの副島啓一氏が、「Doctors Me」を運営するサイバー・バズの田中啓介氏に尋ねた。
「Doctors Me」

副島:近年のSEOの傾向をどのように見ていますか?

田中:「検索結果を通して、ユーザーに対していかにいいものを提供するか」というGoogleの方向性は変わっていないと思います。ただアルゴリズムが年々進化している。現在はキーワードそのものだけでなく、その裏側にある「ユーザーの検索意図」までくみ取って、より関連度の高い、質のいい検索結果を推奨してくれるようになったと感じています。

副島:Googleは、膨大なテキストデータを学習し検索結果に反映していると考えられます。だから人工的な小細工は、露見しやすくなりましたよね。

 同時に、Googleの言語解析能力がここまで進化しなければ、コンテンツマーケティングが今みたいにもてはやされることはなかったでしょう。言語解析能力を逆手にとった手法も出始めてきました。ほんの数年前まで人気のあった外部リンク施策が急速に衰退したのも、アルゴリズムの進化によるものですよね。

田中:弊社が運営する「Doctors Me」も、外部リンク施策は一切やっていません。内部構造を最適化しつつ、ユーザーの知りたいことに答えるコンテンツを投入しています。それだけに、現状のSEO施策のメインは「コンテンツの内容勝負」になったと実感しています。

副島:本当に内容勝負の時代ですよね。でも考えてみたら、「ユーザーの知りたいことに対してきちんと情報を提示して、満足させる」ということは、マーケティング視点ではごく当たり前のことだと思います。

田中:仰るとおりですね。「Doctors Me」も当初は医者が利用者の悩みに答えるQ&Aサービスでしたが、利用者の満足を考えて2014年からメディア化しました。ヘルスケアメディアは情報の信頼性が重要だと考えていますので、医師に監修をしてもらっています。現在300名以上の医師ネットワークがあるので、コンテンツの内容によって監修をお願いする医師を選定しています。こうして医師監修のコラムや病名辞典、薬の情報などを発信しはじめたところ、流入数は約30倍に増え、PVも月間約2,000万を達成しています。

■月間約2,000万PVの要因の一つは「コンテンツのリフォーム」

副島:それはすごいですね。具体的にどのようなことをされているのですか?
株式会社サイバー・バズSEOコンサルタント 田中啓介氏

田中:サイト設計やコンテンツの追加などは、一通り自分で施策を打ちました。ただ当初は、今までのセオリーでコンテンツを投入しても、思うように検索順位が上がりませんでした。悩みましたね。

 一つのサイトに日々向き合っているインハウスのSEO担当者は、市場全体のSEOトレンドをいち早く把握するのが難しい傾向にあり、分析も弱みでした。そこで、状況を可視化するためにツールを活用することにしました。いろいろ検討した結果「MIERUCA(ミエルカ)」を導入したわけですが、まずはサイト全体の流入数をディレクトリ単位×流入元別に分解。ボトルネックとなる要因を見つけ出し、手を打つことから始めました。

 次に、テールワード(キーワード検索を行う際に、検索結果を絞り込むためのキーワード)から各コンテンツの検索順位を上げる施策をいくつか走らせることで、全体の流入を増やしていきました。というのも、共起語・サジェストを調べるとどうやら流入キーワードも足りていないようだと気づいたのです。

 たとえば、「蓄膿症」というキーワードの月間検索ボリュームは、Googleだけでも約9万です。私たちのサイトにも「蓄膿症」のコンテンツはあったのですが、長い間、検索圏外のままでした。ここをテコ入れしたことで、検索圏外から約3カ月で1位(2016年9月7日時点)になりました。

副島:具体的にどんな手順で、何をされたのですか?

田中:まずは「蓄膿症」における重要テーマ・トピックの調査です。「蓄膿症」について調べているユーザーには、どのような情報を網羅し、提示する必要があるのか。検索結果上位にある競合サイトと比べ、何が不足しているのか。そういった「現状」を分析しました。

 すると、私たちのサイトには、「鼻腔炎」や「膿」などの重要なテーマが足りていないことが分かりました。つまり、コンテンツには「蓄膿症」を語る上で欠かせないテーマが抜け落ちた「説明不足の状態」だった。ですから、コンテンツ自体の力を底上げする必要があると考えました。

副島:ある程度ページ数のあるサイトの場合、内部リンクでコンテンツ同士をつなげて流入を増やす手法がありますが、そもそもの各コンテンツの持つ「底力」を上げることも重要ですよね。

 そのためには、組織的な企画力・編集力が欠かせません。発想をふくらませるための 重要テーマ・トピック調査やGoogleサジェストキーワード調査などをしっかり実施してコンテンツを改善することで、テーマ性が高まり、ユーザーに評価されれば流入が増えることが多いです。

田中:はい。そこで、次に調べたのがサジェストキーワードでした。ここを読み解くことで私たちがカバーできていなかった「ユーザーの検索意図」が明確になりました。

 たとえば、「蓄膿症 鼻水」というキーワード。バラバラに出てくる共起語のリストだけではどうやって文章を構成しようか悩むことが多いです。そこでツールを使って、意図ごとにグルーピングしたものを見たところ、鼻水の状態が気になっている、逆に鼻が詰まっているなど関心事がわかりました。

 気づきの一つに「鼻水 画像」というテーマがありました。鼻水の色や状態を検索した人は、具体的に「自分の鼻水は今どんな状態にあるのか」を目で見て知りたいという仮説が立てられます。そこでテキストだけでなく、記事に画像や図解を入れてあげることにしました。

 また、「ツボ」というキーワードには衝撃を受けました。私たちのコンテンツでは触れていなかったのですが、実際に調べてみると、上位サイトにはツボに触れているコンテンツがいくつかありました。

副島:最初から「蓄膿症」と調べるのではなく、「鼻 痛い」とか「鼻水 頭痛」など症状から調べて、「蓄膿症」というキーワードにたどり着く。この時点でもう「蓄膿症とは何か」をある程度知っているんですね。だから、「とにかく早く治したい」という意図・欲求があって、「ツボ」といったキーワードが出てくるのかもしれませんね。

井田 奈穂[著]