韓国では、週末ごとに朴槿恵大統領の退陣を求める大規模な集会が開かれている。19日の集会には、全国各地で75万人(主催者発表)が参加した。

歴代大統領の中で、史上最低の支持率5%を記録した朴槿恵大統領だが、辞任を求める韓国国民の声には耳を傾けようとせず、大統領の座に居座ろうとしている。それに伴い、極右団体の動きが活発化しつつある。

ソウル駅前では、パクサモ(朴槿恵を愛する集まり)、オボイ連合、オンマ部隊など、80の保守団体が合同で朴槿恵大統領を支持する集会が開き、集会後には南大門までデモを行なった。参加者数は、主催者発表で8万人、警察発表で1万2000人に達した。一部には「参加者は10万人を超えた」と主張する者も現れた。

「乱動勢力を鎮圧せよ」などと書かれたプラカードを手にした参加者は、「辞任反対」を叫びつつ街を練り歩いた。参加者は、崔順実スキャンダル報道の急先鋒であるJTBCに対して敵意をむき出しにし、記者を襲撃、カメラを破壊するなどの暴力を働いた。

このような集会に対しては、「胡散臭い」(ソウル在住の30代女性)と言った声が上がっていたが、「メディアモング」の筆名を使って活動しているジャーナリストのキム・ジョンファン氏は、集会終了後の午後1時頃、ソウル駅前で何者かが集会参加者にカネを渡しているシーンを撮影、報道した。

にわかに信じがたいことだが、韓国ではこの報道を複数のメディアが引用、報道しており「さもありなん」と受け止められている。それは、実際に朴槿恵政権下で、親政府的なデモや、政権に反対する集会への妨害行為に対して、日当が出ていた事例が確認されているからだ。

今回の集会にも参加していた極右団体「オボイ連合」は、全国経済人連合会(韓国版経団連)から5億2300万ウォン(約4900万円)を受け取り、貧しい脱北者や老人に日当として2万ウォン(約1900円)を払って、セウォル号沈没事故の遺族の集会を襲撃させていたことが、今年4月の時事ジャーナルの報道で明らかになった。

資金は、ベテル福音宣教福祉財団というプロテスタント系の団体を迂回させる形で、提供されていた。このような団体を使うのは、国情院がよく使う手口だとの指摘もあり、青瓦台(大統領府)の関与が疑われているが、真相究明には至っていない。

この状況に至り「朴槿恵支持」を強く打ち出す団体は、極右団体だけではない。保守プロテスタントの一部団体も「朴槿恵大統領に対する辞任要求の不当性を訴える」との目的で集会を開いている。

国家キリスト連合という団体は毎週土曜日の夜に、ソウル駅前で「救国連合祈祷会」を開催している。12日に行われた集会には主催者発表で5000人、警察発表で1000人が参加した。

参加したチョ・ヨンギル弁護士は「すべての国と権威は神様から来ると聖書に書いてある。大統領の裁きを国民の手で行おうとするのは、神様の審判権を犯す傲慢で、違法な行為」と述べた。

他の参加者からは「韓国をキリスト教国家に」「大統領の周囲に神に帰依する人を生み出そう」「国民一人ひとりが懺悔すれば、韓国社会を覆う偽り、家庭破綻、同性愛の悪い魂から抜け出せるだろう」と、大統領の辞任に反対するという集会の趣旨とはあまり関係のない発言が続いた。

残り少ない朴槿恵大統領の支持者には、もはやこうした団体の関係者しかいのかもしれない。