2日連続の出場にも「生地選手も昨日(Jユースカップで)フル出場して、今日も出ているので全然大丈夫」と涼しい顔。疲れを見せず、チャンスにも絡んだ。 写真:徳原隆元

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[J3第30節]FC東京U-23 2-0 C大阪U-23/11月20日/夢の島
 
 1-0で迎えた62分すぎ、久保建英がビブスを脱いでユニホーム姿になると、“夢の島”が沸いた。前日のJユースカップ決勝で、途中出場ながら65分間プレー。帰りのバスの中で「出るかもしれないから準備をしておくように」(久保)言われていたという。
 
 投入直後こそボールが収まらなかったが、ユ・インスへスルーパスを通してゴールに迫った70分のプレーをきっかけに、リズムに乗る。77分には同じFC東京U-18所属の生地慶充とのワンツーから再び左サイドのユ・インスを使って攻撃を演出し、その6分後には小川諒也のクロスにダイレクトで左足を振り抜き、Jの舞台で初シュートを放った(結果は枠外)。
 
 ピッチに入る際、「(途中出場の)自分よりも疲れている選手が多いので、スペースでボールを受けて自分のプレーができれば」とイメージを描いていた久保。立て続けにチャンスを迎え、「(チームとして)かなり良い形で持ち込めていたので、『今日は入りそうだな』」と自身のゴールが生まれる予感があったという。
 
 すると試合終了間際の90+4分、最大の見せ場が訪れる。味方のスルーパスに抜け出すと左足を一閃。ゴール左を狙ったシュートはGKの横っ飛びセーブに遭い、惜しくも初ゴールはならなかった。久保は、GKとの1対1になった場面をこう振り返る。
 
「2試合目(福島戦)は1、2回打てるチャンスを打たずに後悔していた部分があったので、3試合目はチャンスがあったら狙っていこうと思っていました。シュートを打てたことは前進したかなと。でも、これ以上ないって形で(パスが)来て、GKはしっかり見ていたんですけど、ちょっと緊張してしまって、判断を変えることができませんでした」
 
 訊けば、「何も考えられずになって」いたという。そのなかで、「アウト(サイドキック)で(左)サイドに蹴ったんですけど、読まれていた。自分らしくない」というのが決定機に対する久保の自己分析だ。
 C大阪U-23戦を含めてJ3で計3試合に出場し、「少しずつ対応はできてきたけど、まだまだ実力が足りない」と自分の“現在地”を改めて確認できたと語る。
 
「今日の試合は1試合目(長野戦)、2試合目(福島戦)に比べてれば出来は良かったのかなと思います。でもユースより強くて速い選手に対して、自分だけプレースピードが遅い。フィジカルは自分でも仕方ないと思っているので気にしていないですけど、もっと上手くなって、みんなのようになりたい。(来年?) 引き続きユースでしっかりプレーして、もしチャンスがもらえれば、結果を残せるように頑張りたいです」
 
 C大阪U-23戦、キャプテンの森重真人や丸山祐市、橋本拳人、中島翔哉らトップチームの面々が、スタンドから後輩たちの戦いを見守っていた。彼らの目に、久保のプレーはどのように映ったのか。そして来季、彼らとJ1の舞台で“共演”する日は訪れるのか。J3で手にした課題を克服し、プレーヤーとして成長した姿をきっと見せてくれるはずだ。
 
取材・文:小田智史(サッカーダイジェスト編集部)

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