Doctors Me(ドクターズミー)- その知ったかぶり演技性人格障害かも?自覚することが治療の第1歩

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ネットメディアなどの発展により自分を表現できる場が増えた結果、その負の側面として「
演技性人格障害」を疑わせる事例が多く見受けられるようになってきています。 注目を集めることに異常に執着してしまう「演技性人格障害」。その性質をつまびらかにしていきたいと思います。

要チェック項目

□演技性人格障害は突飛な言動で人の注目を集めてしまう心の障害である □原因として大多数を占めるのは「関心」を渇望させる過去の経験 □まず自分が演技性人格障害であると自覚することが改善の第1歩

そもそも演技性人格障害とは?

皆さんは演技性人格障害という病名を聞いたことがあるでしょうか? あまり耳馴染みの無い単語なので、知らなくとも無理はありません。 むしろ『知ってる、知ってる』と知ったかぶりをしてしまった人が居れば、その人こそ演技性人格障害かも知れないのです。 演技性人格障害とは極めて扇情的な行動や他者を巻き込む程の虚言など常識を外れた言動をしてでも周囲の関心を集めたいと考えてしまう心の障害です。 性的なアピールに歯止めが利かなかったり、不必要に博識ぶった末に嘘で話を塗り固めたりと他者の関心を引きたいがために様々な問題行動を起こしてしまいます。 コミュニケーションの障害として、社会生活を営む上での重大な弊害になる場合も少なくないため、早急な対策が必要な状態です。

演技性人格障害を有する人の特徴

演技性人格障害の患者では『他者の関心を集めたい』という目的からも分かるように、「他者」に行動の重点が置かれる傾向にあります。 つまり、他者が自分の言動で喜んだり驚いたりしてくれることばかりを考えて行動してしまうのです。 そういった点を踏まえ、演技性人格障害と推測される特徴には以下のようなものがあるとされています。是非、参考にしてみて当てはまることが多いようなら、適切な対応を考えていただければと思います。 ・自分が輪の中心に居ないと気分が悪い、イライラする ・自分の見た目や社会的な地位、能力など他者の評価に晒されがちな要素を過剰に気にする。 ・流行品などの「他者の関心を集めているもの」に考えを左右されやすい ・性的な面を強調した言動が多くなりがちである ・感情の起伏が常軌を逸して激しい

演技性人格障害になってしまう原因

「他者からの関心」を求めるようになる演技性人格障害を発症してしまうのは、本人が常々「他者からの関心」が不足していると感じているからです。 また、演技性人格障害の発症後は「他者からの関心」は十分に得られていることが多いのですが、患者は求めても求めても満足できない傾向にあるため、それが結果として症状を悪化させる原因にもなります。 そのような「他者からの関心を渇望する」状態に陥ってしまう原因として多いのが過去のトラウマです。 親から受ける愛情が不足していた経験や、集団生活において無視されたり仲間外れにされた経験などが例として挙げられます。 また、性的なアピールが過剰になってしまう傾向のある演技性人格障害は親の交友関係、特に不倫などによって夫婦や親子の関係性よりも男女の関係性が優先されている状況を目の当たりにする といった経験が端緒になることもあります。

演技性人格障害を治療しよう

患者は突飛な言動により一時的に他者の関心を得ることには成功しますが、それは残念ながら悪目立ちであることが多いです。そのため、周囲が非常に寛容な目で見てくれない限りは交友関係に難が生じてしまいます。 そして、交友関係に難が生じると今度は周囲の人に避けられるようになります。すると、他者の関心を集めることができなくなるので、患者はさらに突飛な言動をとるようになってしまいます。 そういった悪循環を回避し、患者が孤立しなくて済むようにするためにも演技性人格障害には適切な治療が必要です。演技性人格障害を自覚した場合には積極的に心療内科などを受診しましょう。 医療機関における具体的な治療としては、おおまかに分けて以下の2つがあります。

心理療法

演技性人格障害による突飛な言動の多くは患者が心から望んで行っているものではありません。そのため、医師はまず患者の隠されている「本当の感情」を見出そうとします。 そうして、患者の「本心」が分かったら、今度は演技性人格障害によって患者が取っている行動が「本心」を叶えるために如何に不適当かを指摘していきます。 ここで重要なのは患者の嘘やアピール自体を否定するのではなく、それが生み出した結果を否定しなければならないという点です。 それにより、患者が自身の本心を見つめ、また自発的に言動の修正を図るように誘導するのが心理療法になります。

薬物療法

演技性人格障害の患者は『他者の関心を得られていない』といった不安症状、また自身の嘘が高じるなどした現実感喪失を呈する場合があります。そういった症状を改善するためには薬剤が有効です。 不安症状には選択的セロトニン再取り込み阻害薬などの抗不安薬、現実感喪失にはドーパミン拮抗薬などの抗精神病薬が処方されます。

演技性人格障害の相手と接する人は

演技性人格障害の有病率は2%程度と言われていますが、発覚していない患者の数もかなり多いとされています。 演技性人格障害であると分からなければ処置のしようもありませんから、治療の第一歩は本人に障害を自覚させることと考えられています。 そのため、周囲の人は心療内科の受診を促すなど専門家に相談する機会を得られる方向に導いてあげてください。 ただし、その際には感情的になって患者の振る舞いや虚言を否定することは決してせず、あくまで冷静に障害を見つめて接するようにしてください。 演技性人格障害は本人の意志では改善が難しく、如何ともしがたいことが多い状態です。患者を悪者として扱わず、寄り添うようなつもりで対応するよう心掛けましょう。

演技性人格障害は制御不能、悪者扱いをしてはダメ

他者の関心が集めたいがために突飛な行動を起こす演技性人格障害は周囲に影響を及ぼすことも多く、はた迷惑と言っても良い障害です。 しかし、患者はただ他者の関心に飢えているだけで悪意も無ければ、本心は別にあることも多いです。 原因面を見ても、きっかけは患者ではなく過去の環境にあるという障害ですので、もちろん『自身に危害が及ぶ場合も黙っていろ』とは言いませんが、許容できる範囲においては冷静な目で向き合ってあげましょう。 そして、可能であれば治療などを促してあげることが大切です。 (監修:Doctors Me 医師)