「空白の7時間」に関する詳細な動きをサイト上に公開

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韓国朴槿恵(パク・クネ)大統領をめぐる、2014年の旅客船セウォル号沈没事故の際の「空白の7時間」について、大統領府は公式サイト内に新設した「誤報を正す」コーナーで詳細な説明を初めて行った。これまでは安全保障上の問題だとして公表していなかった。

朴大統領は事故当日、執務室で事故対応の報告を度々受け、必要な指示も出していたという。大統領と極めて親密で、職権乱用などの罪で逮捕・起訴された崔順実(チェ・スンシル)容疑者の事件をうけ、大統領への批判が高まるなか、少しでも事態を鎮静化したいとの狙いがあるとみられる。

「整形手術を受けていた」説も

朴大統領の「空白の7時間」をめぐっては、チェ容疑者の元夫と密会していて周辺との意思疎通ができない状態だった、といった指摘をはじめ、宗教行為の巫女祭りを行っていた、整形手術を受けていた、といった「疑惑」が出ていた。一部は現地メディアなども報じた。

韓国大統領府は2016年11月18日、公式サイト上に「誤報・怪談を正す」(グーグル翻訳による)コーナーを新設、19日にはセウォル号沈没事故に関して「大統領はどこで何をしたか―これが事実です」とする文書を公開した。「デマで国民が扇動され、混乱がこれ以上広がらないように」と、公開の目的を記している。

同文書によると、大統領府(青瓦台)には、官邸執務室と本館執務室、秘書棟執務室があり、朴大統領は事故当日、主に官邸執務室で対応に当たった。平均20分間隔で状況を点検し、必要な指示を出した、ともしている。

分単位で時間を記した時系列表も載せており、9時24分から22時9分にかけ、計32項目で大統領の執務内容を記している。いずれも「官邸執務室と構内」(中央日報日本語版の訳による)で行われたという。撮影日時は未記載だが、朴大統領が左手で受話器をとり、右手でメモをしている写真もある。

検察は朴大統領の「共謀」を捜査

公開内容については、中央日報(電子版)が数本の記事にわたり詳細に紹介するなど高い関心を集めている。

東亜日報(電子版、19日配信)などによると、大統領府サイトの新コーナーに対しては、ネット上で、弁明はネットで、ではなく検察に対して行うべきだ、といった批判的な声が寄せられている。

20日には、韓国検察当局がチェ容疑者ら3人を職権乱用などの罪で起訴した。同日の会見の中では、朴大統領についても、チェ容疑者の国政介入に共謀した疑いがあるとの見方を示し、今後も大統領への事情聴取を含めた捜査を続けると明言した。

こうした情勢を受け、朴大統領の退陣を求める声がより高まっていくのは必至で、今回の大統領府による対応内容の公開が国政の混乱防止に与える影響は大きくなさそうだ。