厚切りジェイソン氏 photo by caféレストラン ガスト CC BY 3.0

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「Why Japanese People!?」のネタで一世を風靡したお笑い芸人・厚切りジェイソン。彼が役員を務めて株式も保有するIT企業「テラスカイ」は昨年、東証マザーズに上場したばかりの新進気鋭の企業だ。一体どのような会社なのだろうか?

 同社が手がけているのはクラウドに特化したシステムの開発と提供である。国内のクラウド市場は年率2桁の成長を続けており、’19年度には2兆円以上の市場になるとの見込みがあるとも言われている。

◆IT企業「テラスカイ」の業績は?

 この業界ではAmazonのAWSやSalesforceなどの大手ベンダーが存在し、テラスカイはそれらから認定を受けて各企業にクラウドの導入を行うポジションだ。とりわけ、Salesforceは上場時には株式も保有しており、Salesforce認定資格者が多数在籍していることを決算説明資料でも強調してきたが、連結対象のサーバーワークス社はAWSともパートナーシップを結んでおり、案件が増加している。

⇒【資料】はコチラ http://hbol.jp/?attachment_id=117304

 AWSのプレミアムパートナーは日本国内では5社しかいないという。良好な関係を築いている大手ベンダーが伸びれば伸びるほど、導入業社であるテラスカイも伸びていくはずというわけだ。それでは、実際の業績はどうなっているのだろうか?

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 同社の売上の大半を占めるのが製品の導入を通じた、企業へのソリューション事業だ。案件の受注数は順調に積みあがっており、3年間で3倍弱となっている。

◆売上総利益はじわじわと下降

 しかし、社員1人あたりの売上高で見ると、ここ数年で上昇傾向にあるものの、1400万円程度である。上場している同業他社は1人あたり2000万円前後の売上を立てているところが多く、例えばクラウド導入大手のジャストシステムでは約5000万円もあることから、テラスカイはまだなかなか大型の案件を獲得できていないことがわかる。

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 そんな同社の強みは売上から原価を引いた売上総利益率の高さである。同業他社が20%程度しかないにも関わらず、40%程度でこれまで推移してきた。1件あたりの案件の価格は安いが、製品の開発そのものよりも営業や顧客へのコンサルに重きを置いているからか、あまり原価が高くつかないのだ。ただし、売上総利益率もじわじわと下がってきている。

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◆社員数は6年間で6倍以上に

 直近の第2四半期決算では大幅に減益したテラスカイだが、その理由には案件の長期化を挙げていた。1件あたりの売上げ額はそこまで大きくないものの長期で取り組まざるを得ず、利益がなかなかあげにくいという案件も増えてきているのかもしれない。

 同社にとってもう1つのキモは優秀な社員を獲得し続けられるかどうかだ。なにしろ決算説明会資料でも自社の強みはSalesforce認定資格者を始めとする良質な人材であると説明している。

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 社員数は順調に増加し、6年間で6倍以上になっている。最新の第2四半期決算には社員数についての記載はないが、案件の長期化に加えて人件費の急増も減益の理由としていたため、さらに増えていることが見込まれる。昨年の同時期に比べて「給料及び手当」は4000万円以上増え、昨年より30%以上伸びている。

◆平均年間給与は540万円程度

 ここまでのところは人材確保がうまくいっているテラスカイだが、ここからが正念場となる。同社の平均年間給与は、決算書によれば540万円程度で推移している。これは同業他社と同じ程度か、やや低いぐらいの水準と言える。たとえば勤怠管理システム導入大手のアマノの平均年間給与は644万あり、一人当売上高の高いジャストシステムは884万円もある。

 実はテラスカイぐらいの規模のときの人員確保が最も難しいとされる。創業期のベンチャーであれば、ゼロから立ち上げに参加したい人も集まるし、多額のストックオプションという形でリターンで報いることもできる。超大手になれば、高い給与水準や手厚い福利厚生で人材を惹きつけられる。

 しかし、社員数が100人を超えたあたりの会社はある意味で「どっちつかず」なので、優秀な人材を集める方法を見つけるのが難しい。テラスカイのエンジニアには認定資格を取ってもらうなどの高度な専門性が求められるから、誰でもいいから採用して育てるというのも難しい。

 高単価な案件を獲得できるようにシフトしていきながら、人材の確保が続けられるかどうか。テラスカイはここからが正念場である。

<文/大熊将八>

おおくましょうはち○現役東大生にして、東大・京大でベストセラーの企業分析小説『進め!! 東大ブラック企業探偵団』(講談社刊)著者。twitterアカウントは@showyeahok