放送開始前より3人の脚本家が存在すると発表されていた日曜劇場『IQ246〜華麗なる事件簿』(TBSテレビ系・日曜21:00〜)。

エピソードによって変わる脚本家の、個性を活かしたトリックを、織田裕二演じる貴族の末裔・法門寺沙羅駆がIQ246の超絶頭脳を使って解き明かしていく、本格推理ドラマになるだろうと期待していた。

の・だ・が!

第1〜3話を担当した脚本家・泉澤陽子さんは、後ろから首を絞めたりぶん殴ったりという、トリックともいえないゴーインな犯行ばかり。


第4話の栗本志津香さんは難解といえば難解だったものの、謎解きの段階で、それまでまったく登場していなかった情報がボロボロ出てくる、「そりゃ誰も分かんないよ!」という掟やぶりなトリック。

そして第5話で初登板となった第3の脚本家・木村涼子さんが仕掛けたトリックは……今までの中では一番、推理ドラマっぽい体は成していたものの、よくよく考えると犯行動機も計画もワケが分からないという事件だった。

「殺そう!」と思うハードルが低すぎないですか?


今回のゲスト犯人は成宮寛貴が演じる「チョコ」こと千代能光一。

AR技術を使ったパフォーマンスをしている2人組アートユニット「バナナ&チョコ」のメンバーのひとり。……まあAR三兄弟みたいなモンなんでしょうな。

この「バナナ&チョコ」。東京オリンピック開会式の演出候補に名前が挙がるほどの人気ユニットらしいのだが、もうひとりのメンバー「番ちゃん(バナナ)」こと番田要(矢本悠馬)とチョコは、最近、方向性の違いで言い合いになることも多い。

そんな時、アラン・ウォズニアック(この名前!)というニューヨーク在住のアーティストと番ちゃんが新ユニットを結成するという噂が流れ、それに腹を立てたチョコは番ちゃんを殺害することに。

……って、なぜ殺す!?

方向性の違いで憎んでいたのならユニット解散は渡りに舟だし、「お前がいなくなったらやっていけないよ!」という気持ちなら、アラン・ウォズニアックの方を殺せばいいだろう!? 「番ちゃんの才能を他人に奪われるくらいなら殺しちゃえ!」ってことなのだろうか?

その辺の葛藤があまり描かれないまま、いきなり「殺しちゃお」というのは、さすがに短気すぎるよ!

こんな犯行計画、成功しないだろ!(成功しました)


まあとにかく、お約束どおりこのドラマの黒幕「13」こと「M」こと「マリア・T」から「完全犯罪」の指南メールが届いて、その計画を実行していくことになる。

その計画とは、とあるギャラリーのオープニングイベントで、高い場所からサプライズで登場する予定となっている番ちゃんを、事故に見せかけて殺しちゃおうというもの。

まず、番ちゃんは蜂毒アレルギー&海老アレルギーを持っているので、いつも食べているお菓子ボックスに、袋をすり替えた海老せんべいを入れておく。そうすれば出番前に食べる(だろう!)。

知らずに海老を食べてしまった番ちゃんは、高い場所に立った頃にアナフィラキシーショックを起こす(だろう!)。

しかし、いつも持ち歩いている薬を自己注射して症状は緩和されてしまう(だろう!)。

でもその辺は想定内!

体内にアレルゲンとなる物質(海老)が入った状態で強いストレスを加えると、再びアナフィラキシーを引き起こす「ことがある」からだ。

そこで、パラメトリック・スピーカーという超指向性のスピーカーを使い、番ちゃんにしか聞こえないように蜂の羽音を聞かせることで、「蜂がいる!」とテンパッた番ちゃんは、蜂を避けるために命綱を外してしまう(だろう!)。

で、強いストレスを与えられて二度目のアナフィラキシーショックを起こした番ちゃんは、意識を失って高いところから落下して死亡する(だろう!)……という計画だ。

なんだこの成功確率のメチャクチャ低そうな犯行計画は! 「だろう運転」はダメだって教習所で習わなかったのか!? ……まあ、成功するんだけど。

ある意味、完全犯罪成立!


全体的に運任せすぎだったり、AR(拡張現実)とVR(バーチャルリアリティ)とがごっちゃになっていたり、非常に重要なアイテムであるはずのパラメトリック・スピーカーが、BOSEの普通のスピーカーにしか見えなかったりと、気になるところは山ほどある今回の事件だが、もっとも気になるのは、

そもそもこれ、何かの罪になるの?

ということ。

殺意があったことは間違いないものの、チョコが実際にやったことといえば、お菓子をすり替えて、蜂の羽音を聞かせただけ。

最後、刑事に連行されていっちゃったけど、裁判になっても絶対勝てるよ!

そういう意味では、完全犯罪と言ってもいいんじゃないだろうか!?

まあ今回のエピソードは、「こんなの成功しねえだろ!」問題はあるものの、アレルギーやパラメトリック・スピーカーなどの伏線はキッチリ張られていたし、「まあ、推理ドラマってこんなもんじゃないかな?」レベルには達していたと思う。

あんま細かいこと言いながら観ても仕方ないですからねぇ。

あと、ものすごく余談ですが「この人が開会式の演出に決まった」ということで、スマホにビートたけしの写真が映し出されていたのには笑いました。リアルになくもないセンですからねぇ。

さすがに許可は取ってるんだろうけど、わずか10フレームくらいの出演(一時停止しないと判別出来ない)にオッケーを出したたけしは懐が広い!?

脚本家を予想しながら観たら楽しいかも?


そろそろドラマも折り返し地点ということで、第5話には黒幕「M」の姿もチラチラ登場していた。

犯行現場に「M」らしき人物が姿を現したり、「完全犯罪の方法、教えます」というお馴染みのメールを、なんと沙羅駆の元に送りつけてきたり。

さらに沙羅駆と電話で直接会話し「いつになったら私に会いに来ているの?」なんて思わせぶりな発言も。

沙羅駆と以前から因縁のある人物であることは間違いないのだろうが、果たしてどんな関係だったのだろうか?

ちょいちょい出てくる「M」のシルエットは、やっぱり中谷美紀演じる監察医・森本朋美っぽかったけど、犯行現場に現れた「M」の姿が、ARゴーグルを通してのものだったということから、「M」=ネットワーク上に存在する人工知能説をボクはしつこく推していこうと思います!

さて、今夜放送の第6話のゲスト犯人は平岳大。そして、ゲスト死人は今野浩喜!

今回の脚本家は誰なのか? トリックのタイプを確認ながら、エンドロールで流れる脚本家の名前を予想するというのも、面白いんじゃないだろうか。
(イラストと文 北村ヂン)