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 今年12月4日のイタリアでの国民投票とオーストリアの大統領やり直し選挙を皮切りに2017年10月まで、欧州連合(EU)が自滅か存続かを問われる投票が5か国で予定されている。2017年3月はオランダの総選挙、5月がフランスの大統領選挙、10月がドイツの総選挙という順になっている。

 先の米国の大統領選挙でグルーバル化と体制派に反対する人たちの支持を受けてトランプ氏が勝利した。その影響がヨーロッパにも波及する可能性がある。グルーバル化の典型であるEUの存在に反対する政党がここ数年ヨーロッパで高い支持を受けているのだ。それは左派政党であったり、極右政党であったりと、国によって異なっている。しかし、共通しているのはユーロからの離脱、或いはEUからの脱退を望んでいることである。

 イタリアの国民投票は、これまで上院と下院が同じ立法制度の権利をもっているのを、レンツィ首相は上院の現行定数350議席から100議席に減らし、上院が持っている下院との同等の立法上の権利を無くして、実質的に下院だけの一院制にするために憲法の改正を行うという案の審査を国民に委ねるというものである。この改正によって、政権の安定化と議会制度のスピード化を図ろうとするものである。

 レンツィ首相が国民投票を実施すると決めた昨年4月頃には、この改正に賛成派が多数を占めると見られていた。しかし、投票日が近づくにつれて<反対派が39%、賛成派の35%を上回るようになり、まだ未決定が26%>という世論調査の結果が『La Republica』紙によって報じられた。(参照『La Republica』)

◆改正案可決でレンツィ失脚&五つの星台頭

 問題は、この改正案が否決されると、レンツィ首相の辞任は必至で、総選挙となり、ポピュリズム政党五つの星が他党と連携して政権を担う可能性が生まれることである。

「五つの星」政党はイタリアのユーロから離脱を問う為の国民投票の実施をすべきだとして、その案を議会で審議にかけるべく<丁度1年前に20万人の署名を集めた>という政党なのである。五つの星とイデオロギーは異なるが、同じくユーロ離脱に賛成している北部同盟との2党への支持者だけで既に40%を占めることになるという。またレンツィ首相が率いる民主党も党内がこの改正に賛成と反対に二分しているという問題を抱えている。(参照:『Sputnik News』)

 イタリアはEU内で英国を除きGDPで3位の国である。国民投票が否決されると、それが導火線となってイタリアのユーロ離脱の可能性が浮上して、他のユーロ加盟国にマイナス影響を及ぼすのは必至である。

 オーストリアの大統領のやり直し選挙では前回の投票結果で勝利した緑の党のアレキサンダー・バン・デ・ベレン氏と極右派自由党のノルベルト・ホーファー氏の得票率の差は僅かに0.6%であった。ホーファー氏は自国のことについての決定権がEUに集中し過ぎていると指摘して、自国のことは自国で決めたいとしている。それが認められない場合はEUを離脱するという方針でいる。しかも、自由党のホーファー氏が大統領に就けば、オーストリアがEUからの離脱の可能性が強くなるのは<41%の国民がそれを望んでいる>からである。このパーセンテージはEU離脱を決めた英国の38%よりも高いのだ。(参照:『La Infomacion』)

◆やり直し次第では極右政権に

 次に選挙が予定されているのがオランダである。3月15日が投票日になっている。極右派自由党への支持が次第に上昇している。党首のウィルダース氏が主張しているEU離脱を問う国民投票の実施について国民からの支持も強まっている。議会では13の政党が存在していることから連合政権となり、自由党だけの単独政権にはならない。その分、過激な政治決定は出来ないが、<EU離脱を希望している国民が25%>もいて、これはイタリアよりも高いパーセンテージである。(参照:『La Infomacion』)。