ブログに「何度も」と題して思いを綴った小林麻央さん(画像および記事は公式ブログより)

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 現在、乳がん闘病中のフリーアナウンサー・小林麻央さんが、11月14日にブログを更新。長女の麗禾ちゃんと長男の勸玄くんが、可愛らしく手をつないで移動している後ろ姿の画像をアップし、「この後ろ姿が送られてきて、泣いてしまった」と告白した。

 それでも気丈に「弱気になっているのでなんとかしなくては!と思います」と奮起。「ずっと強くはいられないもの。繰り返し、繰り返し。何度も乗り越えたいと思います」と揺れる心情を吐露しながらも、前向きでいたい気持ちを綴った。

国民の20人に1人が「がんサバイバー」に

 彼女のように「がん」と診断されて治療中の人、あるいは、治療をひとまず終えた「がんサバイバー」と呼ばれる人々は全国で500万人を超え、やがては国民の20人に1人が「がんサバイバー」という時代が訪れるといわれている。

 治療の苦痛や後遺症だけでなく、日々不安やストレスとも闘わなければならない。そうした人々のメンタルケアについて気がかりな報告が先月、アメリカの医学誌『Journal of Clinical Oncology』オンライン版(10月26日)に掲載された。

 米国疾病管理予防センター(CDC)が行った調査によると、がんサバイバーが「抑うつ」や「不安」から薬剤を使用している比率は、それ以外の人たちのほぼ2倍にもなることが明らかにされた。
がんサバイバーの約2割が「不安」または「抑うつ」で服薬

 今回の研究では、米国国民健康聞き取り調査(NHIS)の2010〜2013年のデータを用いて4万8000件を超える記録を分析し、不安または抑うつで服薬しているがんサバイバーの数を推定した。

 その結果、不安または抑うつ、あるいはその両方のために薬を服用していた人の割合は、がんの既往のない成人4万5000人では10%だったのに対し、成人のがんサバイバー3000人では19%に達していた。

 研究を率いたNikki Hawkins氏は「治療を終えた後でも、がんは長期にわたって深刻な心理的、情緒的な打撃をもたらすことがわかる」と述べている。がん経験者の約5人に1人という数字は、アメリカ全体では約250万人にも相当するという。

 今回の知見からは、最近がんになった患者だけでなく、10年以上前に診断を受けた人でも、こうした薬剤の服用率が、一般集団の約2倍の比率であることが判明している。

 米国がん協会(ACS)のKevin Stein氏はこの報告について、「われわれがこれまで把握していなかった重要な情報だ」と述べている。不安や抑うつは、生活の質(QOL)や生存率にも大きく影響するが、薬物療法とストレス管理トレーニングなどの介入治療によって管理することが可能だ。

 たとえば、医師が患者の来院時に毎回、「どのくらい辛いですか?」と尋ねるだけでも、不安や抑うつをスクリーニングできるという。

「がんと闘う」治療から「共に生きる」治療へ

 がんは治療によって病状が治まることはあるが、ミクロレベルでがん細胞の根絶を確かめるすべはなく、「完治」のない病気だ。5年生存率が治癒の目安にはなっているが、再発や転移の可能性は何年たってもゼロにはならない。

 一方で、わが国では全がん平均の5年生存率が6割を超え、がんの種類によっては9割を越えるものもある。

 そうした中で、がん診断後の人生をより良く生きていくためのプロセスが重視されるようになってきた今、がんサバイバーのメンタルケアには、医療のみならず社会全体で取り組む必要があるのだろう。

 「がんの身体的影響に加えて、心理的、情緒的な負荷をさらによく理解し、治療するために尽力する必要があるということだ」と、今回の研究を率いたHawkins氏も述べている。

 「がんと闘う」ための治療だけではなく、がんサバイバーの人生をよりよいものとする、総合的ながん治療の発展を望みたい。
(文=編集部)