キム・ギドク監督

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 第17回東京フィルメックスのオープニングセレモニーが11月19日、東京・TOHOシネマズ日劇で行われ、アジア圏の新進監督たちの秀作を集めたコンペティション部門の審査員を務める映画評論家のトニー・レインズ(審査委員長)、女優で声優のアンジェリ・バヤニ、パク・ジョンボム監督、アジア映画研究者として活動する松岡環氏、映画プロデューサーのカトリーヌ・ドゥサール氏が出席した。セレモニー終了後には、オープニング作品「THE NET 網に囚われた男」の上映を控えたキム・ギドク監督が登壇し、同作に込めた思いを述べた。

 割れんばかりの歓声と拍手で迎えられたギドク監督は、「土曜日の夕方、貴重な時間に見に来てくださいまして、心から御礼申し上げます。しかしながら、とても幸せなはずの週末に見るには悲しくて胸が痛くなるような映画です」とユーモアたっぷりの挨拶で場内を沸かせた。

 「THE NET 網に囚われた男」は、事故で北朝鮮と韓国の国境を越えたために理不尽な運命にさらされる漁師の姿を通し、弱者が犠牲となる現代社会の闇をあぶり出した社会派ヒューマンドラマ。ギドク監督は、「韓国と北朝鮮は朝鮮戦争以来、66年間に渡って闘争が続き、互いに恨み、非難することを繰り返しています。その状況は未だに変わっていません。それがこの映画を撮ろうと思った理由です」と真っすぐな眼差(まなざ)しで語る。そのうえで、「この映画の最後は悲しく苦しく思えるかもしれませんが、私たちの未来は映画の結末と反対になることを心から願っています」とほほ笑んだ。

 第17回東京フィルメックスは、特別招待作品10本、コンペティション部門に選出された10作品、特集「イスラエル映画の現在」の2作品などが上映される。11月27日まで、東京・有楽町朝日ホールをメイン会場に開催。