「大人の塗り絵」が爆発的人気、米人気ドラマも便乗

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書籍販売についての調査を行っているニールセン・ブックスキャンによれば、米国で”大人の塗り絵”の販売部数が急増している。2014年に100万部だったのが、2015年には1,200万部に達し、1年間で1,100%の伸びとなった。

この急成長を考えれば、ケーブルテレビのHBOやナショナル・ジオグラフィック、玩具メーカーのクレヨラなどが、この分野に進出を決めたのも納得がいくだろう。格闘家のジャン・クロード・ヴァン・ダムまでもが、大人向けの塗り絵を販売している。

大人の塗り絵が流行し始めたのは比較的最近のことだ。2013年にスコットランド出身の作家兼イラストレーター、ジョハンナ・バスフォードが『ひみつの花園:花いっぱいのぬりえブック』を発表。これをワシントン・ポスト紙は「装飾や花が詳細に描かれていて、イラストの中に隠れているものを見つける『ウォーリーをさがせ!』的な面白さがある」と称賛した。

本の内容も、ターゲットとした顧客層も、発売のタイミングも全てが適切だったのだ。

書店チェーン、バーンズ&ノーブルの販売担当責任者メアリー・アミクッチは、大人の塗り絵について「子どもの頃を思い出させる、懐かしい感じ」が人気の理由だと分析する。

バスフォードの『ひみつの花園』や同様の作品は成功をおさめたが、実際に大人の塗り絵が爆発的に広まったのは、ライセンス制度が導入されてからだ。

「大人の塗り絵は、ライセンシング業界に突如出現した新しいカテゴリーだ」と、国際ライセンシング・ビジネス協会(LIMA)のマーティー・ブロックスタインは言う。「ライセンス制度は、男性や女性、SF好きやファンタジーのファンといった、”特定のオーディエンス”の心をつかむ方法の1つだ」

ブロックスタインは、ライセンス制度の導入により、大人の塗り絵と様々なブランドや小売業者(書店、手芸用品店、量販店や百貨店)が融合し、ビジネス拡大の助けになると指摘する。

そうしたブランドの1つが、最近ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』の塗り絵を発売したHBOだ。同社のジョシュ・グッドスタット副社長は、大人の塗り絵に進出した理由について、「ファンの増加を受け、これまでにない方法で番組を宣伝する方法を考えた。大人の塗り絵によって、ドラマの新シーズンが始まるまでの間も視聴者に興味を引くことができる。面白い取り組みだ」と話している。

クレヨラのプラットフォーム・マーケティング担当ディレクターであるキム・ロンピラは、大人の塗り絵とストレスの軽減を関連づけるさまざまな研究報告を読んで、同分野への進出を決めたと語る。「子どもの頃に好きだったキャラクターなどと再びつながることができるだけでなく、癒しを求めている大人に塗り絵という息抜きの機会を提供できると考えた」と彼女は言う。

「クレヨラは100年以上にわたって、子どもたちに創造性を発揮させるためのツールを提供してきた。大人の塗り絵を提供することで、今度は大人たちも楽しむことができ、子どもの頃に大好きだった遊びに興じることができる」

これは、企業が自社ブランドのファンの心をつかむために、その時々に流行しているものを利用する典型的な例だ。当然ながらここでは、人々の関心領域を常に監視・評価することが重要になる。今回のようなケースでは、すぐに魅力が色あせて、一時の流行で終わってしまう可能性もある。