訪日外国人旅行者が増加し、さまざまな業界が恩恵を受けている。化粧品市場にも好影響を与え、市場拡大につながったようだ。

 日本政府観光局(JNTO)が11月2日に発表した資料によると、10月30日までの訪日外国人旅行者数の累計が2,005万人となり、初めて2,000万人を超えた。年間の訪日外国人旅行者数が1,000万人を超えたのは2013年の1,036万人。その後増加を続け、2014年が1,341万人、2015年が1,974万人だった。今年は10月末の時点で前年実績を超えており、過去最高を大きく更新しそうだ。

 訪日外国人旅行者の増加は、さまざまな業界に好影響を与えている。化粧品市場もそのひとつで、市場拡大の要因となったようだ。

 矢野経済研究所は化粧品ブランドメーカーや流通業者などを対象に、化粧品市場に関する調査を実施し、その結果を10月21日に発表した。調査時期は6月から9月。

 2015年度の国内化粧品市場規模は、前年度比3.0%増の2兆4,010億円(ブランドメーカー出荷金額ベース、以下同じ)だった。製品分野別にみると、スキンケア市場は前年度比3.6%の1兆1,160億円だった。洗顔料や化粧水、美容液、フェイスパックなどを中心に、訪日外国人旅行者の需要を取り込んだ。メイクアップ市場もベースメイクで高機能なリキッドファンデーションの需要が拡大したほか、ポイントメイクではリップに重点を置くメイクがトレンドとなり市場が拡大。市場規模は前年度比2.7%増の5,251億円だった。このほかでは、フレグランス市場が前年度比3.2%増の290億円、男性用化粧品市場が前年度比1.6%増の1,178億円だった。

 日本の化粧品は中国人をはじめとして、訪日外国人旅行者からの人気が高かったが、2014年10月に外国人旅行者向け消費税免税制度が改定され、化粧品も免税対象になった。そこで、小売業者や卸業者、化粧品メーカーなどが訪日外国人客を意識した売場づくりや多言語対応、外国人が喜ぶギフトセットの販売などを強化したことで、より多くの需要を取り込んで市場拡大につながったと同社は指摘している。

 政府は2020年に訪日外国人旅行者数4,000万人という目標を掲げており、これが達成されればさまざまな業界が恩恵を受けそうだ。ただ、最近では爆買いで知られる中国人旅行者の買い物にも変化がみられ、百貨店などでは宝飾品をはじめとした高額商品の売上が伸び悩んでいる。訪日外国人旅行者を相手にする事業者は、消費傾向の変化に柔軟に対応していく必要がありそうだ。

サイトウ イサム[著]、加藤 秀行[著]