風邪のシーズンがやってきた。初期症状としては、寒気やだるさ、全身がこわばって筋肉痛になる、鼻や喉の粘膜が渇いたような感じがする等々だ。とくに冬風邪は、ウイルスが気管支の粘膜に付着し、炎症を起こすのが最初の症状で、その後、微熱や38度程度の熱が出る。喉の痛みや痰が頻繁に発生、鼻づまりになるなどの症状になる。
 「厄介なのは、そうした風邪が、日本人の死因の3位を占める“肺炎”につながるということ。肺炎は依然として医療機関としても気が抜けない症状なのです。超高齢化社会と言われる今、中高年者の肺炎は増え続け、命を落とすケースが後を絶ちません」(医療ライター)

 風邪と肺炎は、症状や経過に違いがある。例えば風邪は、炎症が喉や鼻などの上気道に起きるが、肺炎の場合は気管支より奥の肺ということになる。
 症状にしても、風邪の場合は発熱、鼻水、咳などが表れるが、肺炎は咳、痰、発熱の他に、呼吸困難や胸痛なども起きる。
 「原因についても、風邪は主にウイルスですが、肺炎の場合は、ウイルスの他に『真菌』という細菌があります。また、風邪の期間はせいぜい1週間〜10日程度に対し、肺炎は期間が非常に長く、重症化すれば死に至るのです」(同)

 新聞の死亡記事などを見ても、亡くなった人の原因に肺炎と書かれているのをよく目にする。高齢者が中心とはいえ、医療関係者は「30〜40代の若い世代にも肺炎罹患者が増える傾向にあり油断は禁物」と、警鐘を鳴らしている。
 国立病院機構東京医療センターの呼吸器内科専門医は、こう説明する。
 「肺炎は環境によって三つに分けられます。一つは入院している人が発症する『院内肺炎』、二つめは介護施設の入所などの『肺炎』、最後に会社員など元気な人に起こりやすい『市中肺炎』。病院や介護施設などで感染する肺炎は高齢の方が多いのですが、『市中肺炎』は30〜40代の若い世代の人も発症しています。なかには劇症型の肺炎もあり、進行が加速し、結果、亡くなる方も多いため、注意が必要なのです」(呼吸器系専門医)

 では、肺炎はなぜここまで拡大するのか。
 「肺炎を起こす原因菌の種類が多いことも、一つの理由に挙げられます。そのために効果のある薬も異なり、的確な診断と治療が必要になってくる。また、健康な身体であれば原因菌に対しても体内の防御機能で排除できるが、高齢者や体力がない場合、そうもいかなくなる。いったん風邪をひくと、まず喉や気管支などの上気道に炎症が続き、機能が崩れてしまう。結果、肺炎の原因菌が肺の奥に入り込み、増殖しやすい状況を作り出してしまうのです」(同)

 しかも前述したように、肺炎の原因菌は多種多様で、治療も複雑。その上で予防を考えるには、風邪そのものを防ぐことが重要になってくるわけだ。
 医療総合クリニックの医学博士、久富茂樹院長はこう説明する。
 「一般的には咳が止まらず、喉が痛い、熱っぽいという症状があれば風邪と考え、数日間仕事を休んで様子を見るとか、市販薬を飲んでみようということになるでしょう。しかし、風邪の大部分(90%)はウイルス感染。このウイルスは人から人へ簡単に感染しやすく、呼吸器感染症の怖いところなのです」