17日、中国でこのほど、農民が中央政府省庁を告訴するという前代未聞の裁判が始まった。写真は中国環境保護部。

写真拡大

2016年11月17日、北京青年報によると、水質汚染で白血病になった娘を失った農民が10年をかけて真相を究明し、中国環境保護部を告訴した。

北京市第一中級法院で10日、ある裁判が開廷した。原告は河北省廊坊市大廠回族自治県の農民・馮軍(フォン・ジュン)さん(50)。そして被告は中国環境保護部だ。農民が中央政府省庁を告訴するという前代未聞の裁判が始まった。

馮さんの戦いは10年前から始まっている。2006年に長女が白血病を罹患(りかん)した。骨髄移植手術を受けるなど手を尽くしたが、翌年に死去している。次女も白血病と診断されたが、幸いにも症状は軽く、一命を取り留めた。調べてみると、自宅の井戸は環境基準値の2.95倍ものヒ素、3.8倍ものマンガンで汚染されていることが明らかになった。馮さんが住む夏墊鎮近隣はがん患者が多く、いわゆる「がん村」としてメディアで報じられたこともある。

井戸の汚染、がん多発の原因はどこにあるのか。馮さんは近隣の二つの工場が原因だと考えている。この10年間、真実を確かめようと馮さんは工場汚水を調査し、企業や地方政府環境部局を告訴し戦い続けてきた。敗訴続きだが馮さんはあきらめていない。ついに戦いの矛先は中央政府である中国環境保護部へと向かった。環境アセスメントの結果が偽造されていた疑いがあるとの訴えだ。国を相手に勝利することは難しい。それでも最後まで戦い抜くと馮さんは亡き娘に誓っている。(翻訳・編集/増田聡太郎)