トランプ氏が勝利集会(The New York Times/アフロ)

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 日本時間11月9日、米国の次期大統領選挙にて共和党のドナルド・トランプ氏が選出された。この結果に対し、米国各地で抗議デモが相次ぎ、ドナルド氏に敗北した民主党候補のヒラリー・クリントン氏を支持していたレディー・ガガやケイティ・ペリーなど、批判的なコメントを発信している著名人も少なくない。

 ドナルド氏にはすっかり“破天荒”なイメージが浸透しているため、世界的に不安が広がる一方で、いったいトランプがどのような人物なのか、知られていない面が多いのも事実だろう。そこで今回は、トランプ新大統領の本格始動が迫る今だからこそおさらいしておきたい、「トランプ氏に関する基礎知識」をまとめてみよう。

●総資産額は推定37億ドル

 トランプ氏はニューヨークの裕福な家庭に、5人兄妹の第4子として誕生。父親は不動産開発業を営み、『トランプ氏が大統領になったら、日本はどうなる?』(国際情勢研究会/ゴマブックス)によると、トランプ氏もペンシルベニア大学在学中から父の不動産会社を手伝っていた。

 その後、1971年に父から同社の経営権を譲り受けたトランプ氏は、社名を現行の「トランプ・オーガナイゼーション」に変更。そのほかカジノやホテルの経営、83年建設の「トランプ・タワー」など自分の名前を冠した不動産を複数運営し、「アメリカの不動産王」と呼ばれた。しかし、80年代後半の他異業種展開で巨額の債務を抱えることとなり、91年にカジノ、92年にホテルが倒産した。

 そのため、トランプ氏が現在までに売却した物件や撤退した事業も多いが、今年8月の米雑誌「ニューヨーク・タイムズ」は、同氏が所有する企業の抱える負債総額は少なくとも6億5000万ドル(約650億円)と報道。また、米経済誌「フォーブス」が同10月に発表した長者番付によれば、ニューヨークの不動産市況が悪化していることもあり、今年度のトランプ氏の総資産額は推定37億ドル(約3700億円)で、前年比8億ドル(約800億円)減少し、400人中156位となっているという。

 そんなトランプ氏だが、実は大ヒット映画『ホーム・アローン2』(92年公開)にも出演していた。当時、トランプ氏は撮影で使用された「プラザホテル」のオーナーを務めており、そのままオーナー役で登場。ほかにも複数の作品に出演し、自身のホテルやカジノへの集客を図っていたと見られる。さらに、トランプ氏は2004年に放送開始したNBCテレビの『アプレンティス(The Apprentice)』のプロデューサー、そして司会を務めたことで、一気に知名度を上げた。

●破天荒な私生活

 では、トランプ氏はプライベート面では、どのような人物なのだろうか。今回の次期大統領選挙で当選が判明した直後、トランプ氏はニューヨークのホテルで勝利宣言を行ったが、同会場には大勢の“トランプ・ファミリー”が集結。現在の妻は、2005年に結婚した24歳年下でモデルのメラニア・クナウスで、06年に男児が誕生しているが、実はドナルド氏の結婚は3回目。

 そのため、この日はメラニア夫人と息子のほか、最初の妻とその間に生まれた長男、長女、次男、そして3人それぞれの伴侶、さらに2人目の妻との間に生まれた次女も駆けつけていた。ちなみに、その長女のイヴァンカ・トランプ氏はトランプ・オーガナイゼーションの副社長を務めている。

 こうした家族構成を見るだけでもトランプ氏の破天荒ぶりがよくわかるが、同氏に対する批判が飛び交う大きな理由といえば、その“過激な発言”だ。トランプ氏は12年の大統領選挙前、バラク・オバマ大統領のアメリカ国籍に疑問を呈し、本当はアフリカ生まれのため大統領になる資格はないとする「国籍陰謀論」を主張。これが人種差別に当たるとしてバッシングを浴びた。その後、トランプ氏は今年9月に行ったワシントンでの演説で、「オバマ大統領はアメリカ生まれ。以上だ」と口にし、過去の発言について謝罪しなかったものの、撤回している。

 また、同10月の「ワシントン・ポスト」によって、05年に結婚直後だったトランプ氏が既婚女性と性的関係を持とうとしたことを語る動画が公開されると、その内容が女性軽視発言にあたるとして大問題に発展。トランプ氏もこの時ばかりは、大統領選挙の投票目前とあって、「私の発言で気分を害した人がいたら謝罪する」とコメントした。

 そのほか、15年の出馬表明時にはメキシコ人を「強姦犯」呼ばわりするなど、とにかく過激な言動が目立つことから、トランプ氏の大統領就任を不安視する声が後を絶たない。しかし、初めはヒラリー氏が優勢と思われていたにもかかわらず、最終的にトランプ氏が勝利した。一部では「隠れトランプ支持者」の存在がこの逆転劇を招いたといわれているが、公職経験のないトランプ氏がこのまま大統領に就任すれば、アメリカ国民のみならず日本、そして世界が振り回されることになりそうだ。
(文=編集部)