蒼光商店を現地指導に訪れた金正恩氏

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北朝鮮の百貨店と言えば、品物が陳列されていても、実際は売ってもらえないことが多かった。「体制を宣伝するショールーム」程度の位置づけだったのだ。それが、最近になって様子が変わり、各百貨店が販売競争に熱心になっていると、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

最近、羅先(ラソン)を訪れた中国人ビジネスマンによると、百貨店の女性従業員は客の呼び込みに熱心だ。それもそのはずで、販売ノルマが課されているからだ。

従業員は、支配人から課せられた販売ノルマを達成できなければ叱責され、改善できなければクビになるというのだ。

だからと言って、そう簡単に客を呼び込めるはずもない。従業員たちは、家族や親戚を呼び、品物を買わせてノルマを達成するという。また、羅先を訪れる外国人客を呼び込むために積極的に販促を行う人もいる。

平壌市民は語る。

「かつて、百貨店で物を買うには、人民班長(町内会長)から購買票(クーポン)を分けてもらわなければならなかったが、今では外貨さえあれば買えるようになった」

このような状況は、金正恩氏が政権について市場の景気がよくなり、平壌市内に中国企業との合弁でできたスーパー「光復地区商業中心」などができてからのことだ。

ただし、売られているもののほとんどが中国製で、国産品はさほど多くはない。また、韓国製品や外国の有名ブランドは売られていない。そういったものは市場で売られている。国営百貨店に行こうが、市場に行こうが、米ドルや中国人民元でなければ売ってもらえない点では変わらない。

国営百貨店の復活が平壌や羅先に限った現象なのか、全国的に広がっているのかは定かではない。情報筋は、このような現象の理由には踏み込んでいないが、トンジュ(金主、新興富裕層)のみならず、一般庶民にもにカネを使わせることで「外貨タンス預金」を引き出し、国庫に吸収しようという金正恩氏の政策の一環と思われる。