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「アリさんマーク」で知られる引越社のグループ会社「引越社関東」が、労働組合「プレカリアートユニオン」の組合員に対して不利益な取り扱いなどをおこなったとして、組合側が不当労働行為の救済を申し立てた事件で、会社側証人の尋問が11月18日、東京都労働委員会でおこなわれた。同社の井ノ口晃平副社長が尋問を受けた。

井ノ口副社長は、昨年10月に引越社関東の東京本社前で労働組合がおこなった抗議活動に対して、「何しとんねん、ワレェ!」「何ぬかしてんじゃ!コラァ、オイ!」と恫喝するように声をあらげた。その様子を撮影した動画は昨年10月にYouTubeで公開されてから現在まで、220万回以上再生されている。

井ノ口副社長は、会社側代理人から約60分間、組合側代理人から約80分間の尋問を受けた。組合側の佐々木亮弁護士の尋問に対して、「せんせぇ、せんせぇ」と関西弁でさえぎって、逆質問しようとする一幕もあった。会場には、労働組合側の関係者が駆けつけてほぼ満席。ときおり野次も飛んだ。

●井ノ口副社長「秩序を守ることを重んじている」

この日の尋問では、引越社関東の営業職からシュレッダー係に異動させられた男性社員の問題が大きく取り上げられた。

男性は、長時間労働にもかからず残業代が支払われず、営業車の運転中に車両事故で弁償代を請求されたことから、昨年3月、「プレカリアートユニオン」に加入した。ところが、会社は同年3月、男性を営業職から「アポイント部」に配置転換。さらに同年6月、一日中シュレッダーをかけるだけの仕事に異動を命じた。

井ノ口副社長によると、同社では、各支店長が4カ月に1度、「ほしい営業職の社員を落札」するドラフトのような人事システムがあるという。井ノ口副社長は、男性が営業職から配置転換になった理由について、交通事故を起こしたことが影響して、落札されなかったことが背景にあると説明した。

また、佐々木弁護士から「シュレッダー係への異動を決定したのは誰か?」とたずねられると、井ノ口副社長は「私です」と認めたうえで、「会社には仲間意識や家族的なところがある。秩序を守ることを重んじている」「(男性は)過去にも勤怠不良をおこしており、アポイント部配属後でも2回連続で遅刻した。規律が保てない」などと述べていた。

(弁護士ドットコムニュース)