9月頭に配信された中国向けスマートフォン専用アプリゲーム「陰陽師」がここ数カ月の中国アプリゲーム市場を席巻している。筆者撮影。

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9月頭に配信された中国向けスマートフォン専用アプリゲーム「陰陽師」がここ数カ月の中国アプリゲーム市場を席巻している。日本の平安時代を舞台にしたアクションRPGで、最大の特徴は「中国産ゲームにも関わらず、キャラクターボイスが日本の声優である」という点に尽きる。

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日本のゲームに中国語字幕を入れているのではなく、中国産ゲームの中で世界観と声だけ日本の題材を使用しているのだ。

ストーリーをシンプルに説明すると、「人と鬼が共生していた時代、世界の秩序を守る陰陽師が式神を操り世界の危機に立ち向かう」という話。ゲームシステム自体に特色はなく「探索→戦闘→経験値とアイテム素材を獲得→レベル上げ、または進化」を繰り返すスタイル。ただPVP(プレイヤーVSプレイヤー)を1日2回実施する点はオンラインゲームが浸透している中国の国民性なのかもしれない。

ちなみに、物語の主役キャラクター「安部晴明」を杉山紀彰(代表作:「NARUTO」うちはサスケなど)が、ヒロインの一人であるキャラクター「神楽」を釘宮理恵(代表作:「鋼の錬金術師」アルフォンス・エルリックなど)が演じている。

そのほか、アニメ好きなら一度は聞いたことのある声優が揃い、APP Storeランキングも1位を独走。配信からわずか2カ月弱でユーザー数1000万人を達成したとの報道もある。

なお、日本を舞台にして、日本の声優を起用してはいるが、現在は日本からダウンロードができない状況となっている。(とはいえ、将来的な日本サーバー設立は視野に入れているという報道もある)

一見すると、ゲームシステムや3Dモデリングのレベルは高く日本のゲームと遜色ない作品となっているが、同ゲームが導入しているアイテム課金(通称ガチャ)、特にキャラクターのスキン(キャラクターが別の衣装や髪型に変化するためのデータ)に対し高額な課金額を設定しているのも特徴だ。人気キャラクターの「茨木童子」(CV福山潤)の新スキンにいたっては決して攻略に必要ではなく、キャラクターのステータスが上がるわけでもないが「かっこいいから」と言う理由で、128元(約2048円)のスキンを購入する女性層が非常に多いという。

実際、上海市内で電車やバスに乗るとどこからともなくアニメ声で殴ったり殴られたりする日本語が聞こえるというシュールな毎朝の風景を堪能できる。「公共交通機関の中くらいゲームするなよ。百歩譲って、せめて音は消そうよ」と言う気持ちもあるが、ここは素直に「日本を舞台にしたゲームで遊んでくれてありがとう」と思いたいところだ。

■筆者プロフィール:川崎健太郎
経歴:1988年、神奈川県川崎市生まれ。日本大学法学部新聞学科卒。富士見書房ファンタジア文庫編集部(現株式会社KADOKAWA)、時事通信社運動部を経て、2015年より一念発起し中国、上海市へ。中国語で挨拶もできない中で在駐日本人向け雑誌の編集、営業に携わる。専門分野はアニメ漫画等のサブカルチャーとスポーツ関係全般。