武田 真優子 / つむぎペットケア

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■「うちのイヌ、散歩の時に足を引きずるようになってしまったんだ」

この飼主さんには、老齢犬と暮らしています。ここ数日、左後ろ足を痛そうにひきずって歩いているそうです。飼主さんとしては、「老化かなぁ」と思われています。


■イヌは前肢に体重をかけている動物

イヌは、車でいうとFF、前輪駆動です。前肢に体重の60〜70%をかけています。


つまり、普段から後肢を意識して運動をさせることが重要です。本来、イヌが野生で生活しているときは、十分な運動量を自分でとることができました。現在、人と生活しているイヌは、慢性的な運動不足です。若いうちからうちの子に合わせた運動・ケアをすることは、共に暮らす飼主さんにしかできない大切なことです。


■散歩をしたがらないから、散歩を控える?

うちの子に、なんらかの痛みがある場合は治療が最優先です。しかし、「足腰が弱くなってきた」から、「散歩をしたがらないから」ということで「散歩や運動を控える」ことは、避けていただきたいのです。


■散歩をしたがらない原因はなんだろう

動物もヒトと同じように老齢になると足腰が弱くなってきます。そこには、病的な原因が隠されていることがあります。例えば、


●関節の痛み

●椎間板ヘルニア

●お腹にガスが溜まって起きる腹痛


があります。これらの原因があったとしても、老齢を理由に散歩や運動を控えることは、うちの子の体にとって逆効果です。うちの子に合わせた、「体力を維持するための基本的な筋肉を維持する」ことを目的とした運動は続けましょう。


■老齢犬を散歩させるときに、なにに気をつけたらいい?

老齢のイヌを散歩させるときの注意点を、4つ書きます。


1)歩き方をチェックする

足を引きずる前に、日々の散歩の中で、その徴候が現れます。


▶ 歩くときに、地面に爪がこすれる音がする

▶爪切りをするとき、他の爪より多く削れている箇所がある

▶足の先で、いつも同じ場所ばかりケガをする


イヌもヒトと同じように、歩き方の癖があります。老齢になるとその癖や痛みにより筋肉の付き方が偏ったり、骨格が歪みます。そして、歩き方に影響してきます。「あれ、なにか変だな?」と思ったときには、専門家に相談することをお勧めします。


2)うちの子オーダーメイドの散歩スタイルをつくる

うちの子の健康状態や体力の変化を見ながら、体調にあったオーダメイドの散歩スタイルを考えましょう。散歩をする時間帯に気をつけ、体に負担が少ないように心がけましょう。


3)散歩前にウォーミングアップをさせる

老齢になると「寝起きに足を引きずる」という飼主さんからの声を聞くようになります。うちの子に負担をかけすぎないように、


▶ 関節を軽く曲げ伸ばしする

▶ リードをつけて家の中や庭で歩かせる


などのウォーミングアップを行ってから、本格的な散歩をするとよいでしょう。


4)持病がある場合は、短時間で自宅に戻れるように散歩コースをつくる

持病がある場合は、無理をしないことが大切なことです。散歩が好きなイヌは、自分の体調を考えることなく、どんどん歩いて行ってしまうこともあります。そんなとき、うちの子の体調を考えてあげられるのは飼主さんだけです。いつもより短いコースにしたり、散歩を切り上げることも検討してみてください。どれくらい運動させてよいのかの判断に迷われるときは、専門家にご相談ください。


■介護には絶対はない

介護方法は、解剖学、生理学上で「こうしたほうがいい」ということはありますが、絶対にこうすべきというものはありません。なぜなら、そのご家庭やうちの子をとりまく環境、うちの子の体の状態によって、変わってくるものだからです。

つまり、介護は「うちの子に合わせ、試しながら組み合わせるもの」です。それゆえ、この記事に書かれていることがあなたのうちの子にぴったりと当てはまらないケースがあります。その際は、まずは、かかりつけの動物病院にご相談ください。