専門誌では読めない雑学コラム
木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第80回


 とあるウェブサイトのアンケートで「オジさんファッションのどこが嫌いか?」という調査をしたそうです。

 セカンドバッグを持っているとか、Yシャツの下のランニングシャツが透けて見えるとか、さらに白ブリーフとか......って、それはいつ見るんだよぉ〜、ですが。とにかく、そんなたぐいのアンケートで堂々の1位になったのは、ポロシャツの裾をズボンの中に入れている姿なんですと。

 ガーン!? ゴルフをやって、はや4分の1世紀。「マナーだから、ポロシャツの裾を中に入れろ」と言われて忠実に守ってきたのに、その姿が"最悪のファッション"とは......。う〜む、この由々しき事態、どうしたらいいでしょうか?

 もし万が一、すごく可愛い子とゴルフをすることになったら、ポロシャツの裾を出していないと嫌われそうです。しかし、ゴルファーとしては、マナーは守らねばならないし......。ありえない設定を妄想し、悩むのでした。

 毎回、進歩的なことを書いているつもりのコラムですから、当然ポロシャツの裾は外に出す派を応援すると思うでしょう? いえ、この話は別なんです。実は事情があって、ポロシャツの裾は中に入れる派です。

 というのも、私はお腹が冷えるから、ポロシャツの裾はズボンの中に入れて暖めたいのです。

 もともとお腹が弱い体質で、子どものときは腹巻きをして寝かされていました。ゆえに、夏場でもポロシャツを外に出して、お腹を外気にさらしながらラウンドしたら、あっという間にトイレに直行です。見栄を張って、ポロシャツの裾を出してプレーするときは、中にタンクトップを着て、お腹を冷やさないようにしておりました。

 若者のゴルフ離れは凄まじく、お金と時間がかかるゴルフは、人気がありません。加えて、ポロシャツの裾を中に入れてプレーって、かなり嫌みたいです。

 大学に、お遊び系のスポーツサークルがありますよね。そういう輩の夏場のサークルウェアはポロシャツになります。テニスウェアの代わりなのでしょう。もともとテニスは動きが激しいので、試合中もポロシャツの裾は外に出しています。だから、ポロシャツの裾は外に出すもの、というイメージが出来上がるのです。

 我々の子どもの頃には、Tシャツも中に入れていました。様子が変わってきたのは、漫才ブームやトレンディードラマ全盛の頃からでしょうか。肩パットのダブルスーツ全盛でしたが、カジュアルになると、なぜかシャツの裾を出すファッションが流行りだしました。

 そう考えると、ゴルフファッションは20年、遅れています。ガラパゴス化ですか。そんなですから、ゴルフ場は「別世界」なのだと、若者に言い聞かせるしかありませんね。

 遅れているファッションでも、女子プロでは丈が短めのポロシャツで、ヘソ出しが流行った時期がありました。進んでいる方は、ヘソピアスもしていました。あれは、カミナリが落ちたら、大事故になりますね。

 また、ポロシャツではありませんが、男子でも石川遼選手の世代は、見た目はジーンズと変わらないようなゴルフパンツを履きたがります。正式なゴルフウェアですが、知らないオジさんは「ダメだよ、ジーパン履いてきちゃ」と注意しそうです。

 さらに、彼らはボロボロになったアポロキャップも好きです。これもまた、「なんだ、その破けた帽子は!? 帽子も買えないのか!」なんて、オジさんなら言いそうです。「いえいえ、お金をかけて、わざとボロボロにしているのです」と説明したところで、年配の方には理解不能な行動に映るでしょうね。

 そうそう、服装で思い出しましたが、以前、某コメディアンと一緒にラウンドしたとき、その方は高級なお洒落運動着、スウェット系の格好でゴルフ場に現れたんですね。そうしたら、当然のごとくゴルフ場から注意をされて、「今後、そういう格好で来ないように」と言われていました。

 本人曰く、「スポーツ施設に入るのに、なんで運動着を着て入っちゃダメなんだ? おかしいでしょ?」と言うのです。これには一理ありますが、ゴルフ場はスポーツ施設であると同時に、会員制の社交場です。なぜか、そっちが優先されます。そのくせ、お客さんはビジターばかりですけど。

 プロ野球選手の移動日は、新幹線に乗るときなど、スーツ着用です。誰もジャージ姿で新幹線には乗りません。そういうマナーになっています。

 それと同じことを、ゴルフ場は100を平気で叩くアマチュアゴルファーにさせているのです。よく解釈すれば、こんな下手なやつらでも、試合の気分を味わえるぞ、と言いたいのかもしれません。

 ゴルフ場が社交場だとしても、最近の若者たちは社交をしません。多くはスマホやPCで予約し、フロントじゃあ、提携のポイントカードを提示して、名前すら書きません。プレーはセルフですから、極論を言えば、同じパーティー内の人以外とは、一切喋らずに過ごせるのです。

 これで「社交をしろ」と言っても、何をどう喋ればいいのやら......。「お昼の海鮮丼がうまかった」って、SNSの中ではコミュニケーションを取っているようですが......。

 まあ、そんなこんなで、今の若者のファッション感覚とコミュニケーション能力は、オジさん世代には到底理解できないようです。お互い、どこか歩み寄りましょうか?

「世代割り」なんて、どうでしょう。20歳以上、年齢が離れているメンバーで一緒にラウンドするなら、割引にするとかね。そういうのをやって、若者客を引き寄せ、世代間のズレを解消できたらいいなと思う、今日この頃です。


■木村和久(きむら・かずひさ)
1959年6月19日生まれ。宮城県出身。株式をはじめ、恋愛や遊びなど、トレンドを読み解くコラムニストとして活躍。ゴルフ歴も長く、『週刊パーゴルフ』『月刊ゴルフダイジェスト』などの専門誌で連載を持つ。

木村和久●文 text by Kimura Kazuhisa