日本では40歳以上の女性に対し、2年に1度のマンモグラフィー(以下、マンモ)検診が推奨されている。日本人女性は、30代後半〜40代に乳がん発症のピークがあるからだ。

 一方、米国では発症のピークが60代なので、50〜74歳の女性に2年ごとの検診が推奨されている。

 その米国から、ショッキングな報告があった。マンモ検診の普及前と後で「過剰診断」例が明らかに増加したというのだ。

 調査は、がん登録データからマンモが普及する以前の1975〜79年の検診例と、普及後の2000〜02年の検診例を比較。

 その結果、普及以前は、2cm未満の小さな病変(超早期がん)の検出率が36%だったのに対し、普及後は2倍近い68%に増加。逆に、2cm以上の大きい病変(早期進行がん)の検出率は、64%から32%へ減少している。

 対人口比で推計すると、早期進行がんの発生が10万対30人。一方、超早期がんは10万対162人にも及んだ。

 一見すると早期発見・治療が叶ったように思える。しかし研究者は「放っておいても、何の症状も出ない小さい病変が検出され、10万対132人の女性が『過剰診断』のリスクを被る」と指摘した。

 さらに「死亡率低下へのマンモの貢献度は3分の1程度で、残る3分の2は治療の進化によるもの」と冷ややかに断定している。

 一方、日本では「過剰診断」より「見落とし」リスクが問題になっている。乳腺が濃いタイプのマンモ画像の場合、乳腺の白い影に病変が隠されてしまうのだ。

 実は日本人女性の過半数は乳腺が濃いタイプだ。特に若いうちは、マンモ検診より超音波検診の方が見落としは少ない。

 日本では乳がん検診の内容を見直し中で、マンモ検診と超音波検診の併用が検討されている。もし併用がスタンダードになれば、見落としが減る一方、過剰診断リスクが増加する可能性がある。

 検診結果は「確定」ではない。結果に慌てず、冷静に2次検査を受けよう。確定診断を基に主治医と治療の計画を立てることが、適正治療と延命につながる。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)