日本を代表するライトウェイトスポーツカー、マツダ・ロードスター。デビューから27年を迎え、現在は4代目となる通称ND型が現行モデルです。

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今年4月には100万台を超える生産台数となり、2シーターオープンスポーツモデルとしてはギネスにも載る異例といえる大ヒット商品です。

けれど、生活必需品的な乗用車と違い、「必要だから買う」のではなく「欲しいから買う」理由が必要となります。

「オープンカーだから欲しい」という人に支持されてきたことは明らかですが「オープンカーじゃなかったら欲しい」という人がいてもおかしくありませんね。だって世の中のクルマのほとんどはオープンカーじゃないんですから。

オープンカーじゃない人はこの際無視するとして、「オープンもいいけど、快適性は犠牲にしたくないんだよな」という人は普通に考えてたくさんいるでしょう。たとえそれがイメージでも「急に雨が降ったら…」「夏冬の空調は?」「盗難やイタズラが心配」と思っている人も多いのでしょう。

先代のNC型にあった電動ハードトップのロードスターRHT(リトラクタブル・ハードトップ)は、グローバルでロードスター全体販売のおよそ6割を占めていたそうです。日本でも5割は超えていたとか。

これは少し意外でした。上記のように、幌への不安がある人がいるというのは想像できますが、ロードスターを買う人の半分以上が選んでいるとは思いませんでした。

まあ、確かに、手頃な価格のスポーツかーとは言え、新車を買うときは大きな買い物です。失敗したくない気持ちもあるでしょう。それにNCのRHTは電動で完全にオープンにすることができます。

では、今度のNDに追加されたRF(リトラクタブル・ファストバック)はどうでしょうか。

まず、ネーミングがRHTからRFに変わっています。これは単に屋根が硬くなって電動開閉するのでなく、ファストバックスタイルになる、ということの表れです。

ファストバックは、日本車ならかつての初代セリカLBのような形でクーペボディのルーフからトランク(ハッチゲート)がなだらかに下がっているスタイルです。

RHTはルーフを閉じるとお供え餅のような丸っとした屋根が乗っかるようでした。これがRFではスタイリッシュにカッコイイと言える。さすが、スーパーカー好きの中山チーフデザイナーであり新主査が手がけただけはあるな、と思わせます。

その開く様子も秀逸です。トレーシーアイランドの秘密基地からサンダーバード2号が出てくるのを思い出しながら意味もなく開閉させたくなるハズです。

スタイルの好き嫌いは人それぞれですが、個人的にはオープン、クローズドのどちらの状態でも「キレイ」だと思います。聞くところによると、最初からハードトップモデルの導入は決まっていたとのこと。デザインも十分に練られたということでしょう。

開いた状態では天井の頭の上部分しか開きません。気になるのは開放感でしょう。

答えから言うと、予想以上のオープンカーらしさを味わえました。ただし、リヤウインドウ部分はルーフとともに収納されますので、風の流れも適度に感じられます。長めの髪が巻き込むほどではありません。これって結構オープンカーへ理解のない女性に納得してもらうのには説得力あるかも知れません。

エンジンはこれまでの幌車が1.5リッターなのに対し、RFは2リッターエンジンを搭載。約70kgの重量増に対し、この0.5リッターの排気量増は十分に余裕をもたらしてくれます。

例えば、マニュアルミッションの場合クラッチを繋ぐときにエンストを気にする割合が減るとか、高速で追い越そうとしたときにシフトダウンが少なくなる、といった具合です。もちろん、変速がしたくてMTを買うんだ!って人は変速をすればいいので心配無用です。

こういった余裕は、ルーフを開けていても、閉めている場合はさらに気密性が高く、静粛であり、かなりロードスターのキャラを変えてくれます。同じ速度ならエンジン回転も下がりますしね。

正直、幌のロードスターなら高速で100km/h巡行が気持ちいいところ。それ以上では(出しませんけど)あまり長時間走ると疲れるかな、と感じてました。

ところがRFは、その余裕のエンジンとクローズドボディに近い室内のおかげで100km/hオーバーの巡行もなんなくこなすんじゃないかな、と(出しませんけど)思わせます。

今回、ワインディングなどを楽しむ走りは楽しめませんでしたが、変則回数が減ってしまいそうなRFは、その楽しみが減ってしまうと言えなくはないですが、それはほんのわずかな差であり、ライトウェイトスポーツのキャラクターに変わりはないはずです。

と、ライトウェイトオープンとしてもスポーティクーペとしても、2面性を併せ持って楽しめるロードスターRFですが、じゃあ、私が買うとしたらやっぱり幌かな。主導の幌の出来栄えがよく、特に急に雨が降った時でも片手で座ったまま閉められるほど「使える」幌なんです(個人的には最初に所有したオープンカーのMG-Bは、傾いた古民家の雨戸を閉めるくらい大変でした)。

しかし、そこはマツダもわかってらっしゃる。

オープンカー好き、ロードスターのファン、ある意味古いタイプのクルマ好きの人には幌タイプを選んでいただき、そうでない人に振り向いてもらいたいというわけです。どっちがいいかを選んで買ってもらうんでなく、好きなほうを指名買いしてもらおう、というのです。

ケイマンとボクスターのように名前を変えても良かったかもしれません。ロードスターを取っちゃってストレートに「マツダRF」とかいいかも知れないですね。実際、それくらいキャラも違っていますから、アリだと思います!

(撮影:前田 惠介/文:clicccar編集長 小林 和久)

<ロードスターRF主要諸元>

■エンジンタイプ SKYACTIV-G 2.0(スカイアクティブ・ジー)
■トランスミッションタイプ
6MT/6AT
■車名・型式 マツダ・DBA-NDERC
■寸法・重量・定員
全長×全幅×全高 mm 3,915×1,735×1,245
室内寸法(長さ×幅×高さ) mm 940×1,425×1,040
ホイールベース mm 2,310
トレッド 前/後 mm 1,495/1,505
最低地上高 mm 145
乗車定員 2名
車両重量 kg 1,100(6MT)/1,130(6AT)
■足回り
ステアリング ラック&ピニオン式
サスペンション 前/後 ダブルウィッシュボーン式/マルチリンク式
ブレーキ 前/後 ベンチレーテッドディスク/ディスク
■エンジン 型式 PE-VPR[RS]型
種類 水冷直列4気筒DOHC16バルブ
総排気量 1997cc
ボア×ストローク 83.5×91.2mm
圧縮比 13.0
最高出力 116〈158〉kW〈PS〉/6,000rpm
最大トルク 200N・m〈20.4kgf・m〉/4,600rpm
燃料供給装置 筒内直接噴射(DI)
使用燃料・タンク容量
45L(無鉛プレミアムガソリン)
■性能
燃費(JC08国土交通省審査値)
15.6km/L

【ロードスターRF試乗】いっそ「ロードスター」をヤメて「マツダRF」でいいのでは?と思ったワケ(http://clicccar.com/2016/11/17/416934/)