スポティファイが破壊する「CD大国ニッポン」 三千億円の音楽市場 

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筆者は日本への旅から戻ってきたばかりだ。日本では音楽へのリスペクトが時代の変化を取り入れつつ、保たれていることに感動した。京都のジャズクラブにも、渋谷のタワーレコード(なんと9フロアもある)にも行ってみたが、日本には豊かな音楽シーンが存在することを実感した。

偶然にも日本滞在中に、スポティファイの上陸に出くわした。スポティファイはCD王国の日本に乗り込んだ最初の大手ストリーミング事業者だ。

「日本でのCD売上は巨大だが、近年はゆるやかな減少傾向が続いている。同時に、少数のアーティストに売上が集中する傾向がある」とスポティファイの担当者は筆者に話した。

日本では音楽ファンたちは一枚のアルバムに最大30ドルを払う。ポスターや玩具、カレンダーつきのプレミアムアルバムも存在する。ストリーミングビジネスにとっては大きな成長が見込める市場だ。

「CD依存」が顕著な日本の音楽市場

ジャパンタイムズの記事によると、「世界ではCDが死に絶え、ダウンロード販売が勢いを増す中で、日本の音楽市場では売上の80%をCDが占めている」という。日本の音楽市場は実際、世界第二位の規模で、年間売上は30億ドル(約3,300億円)に迫るという。

日本で50年にわたり音楽出版ビジネスをリードするフジパシフィックミュージック会長の朝妻一郎の話では、CD販売では現地のミュージシャンらが市場を制しているという。日本の音楽市場の85から90%を日本人アーティストが占めており、残りの10から15%がクラシック音楽も含めた海外のアーティストだという。

スポティファイは日本でのビジネスの先行きに関して楽観的だ。「スポティファイや他のストリーミングサービスは日本の音楽ビジネスやファンたちに良い影響を与える。ファンたちはより多くのアーティストたちへのアクセスが可能になり、アーティスト側のメリットも大きい」と広報担当者は話した。

「我々は世界中の音楽ファンに多様なジャンルのアーティストにふれる機会を提供し、音楽業界で最も大きな成長を牽引している。弊社のプラットフォームに参加することで、日本のアーティストらは世界1億人のスポティファイのユーザーに露出する機会を得る」と担当者は述べた。

今後、ストリーミングはメインストリームになるのだろうか? 時間はかかるかもしれないが、筆者はそうなると思う。しかし、ここで不都合な参考事例として挙げたいのが、Huluやネットフリックスの例だ。ジャパンタイムズは「これらの動画ストリーミング業者は、ツタヤなどの大手が支配するビデオレンタル市場に全く食い込めていない」と述べた。

しかし、スポティファイは強気だ。「我々は日本市場において全く前例の無いビジネスを立ち上げた。この分野で最高のディスカバリー機能を備え、個人の嗜好に合わせたパーソナライズを行ない、全ての人々に新たな音楽との出会いを提供していく」

ドイツの音楽市場を救ったスポティファイ

前出の朝妻は、スポティファイの上陸は特に若い世代の音楽ファンに大きなインパクトを与えると考えている。

比較対象として最もふさわしいのは、日本に次いで第三位のドイツの音楽市場だ。スポティファイは2012年3月にドイツに乗り込み、そこで次のような成果をあげたと説明している。

「スポティファイはドイツの音楽売上(デジタルとフィジカルの合計)を昨年、4.6%増大させた。2014年と比べると増加率は2倍以上で、2013年との比較では3倍に達する。無料でも有料でも利用可能なサービスを提供することで、スポティファイは世界中で1億人以上のユーザーと、アーティストらをつなぐ役割を果たしてきた。日本の全ての人々に利用されるサービスを目指している」

スポティファイは果たしてこのまま成功への道を走り続けるのだろうか。フリーミアムのパワーは、音楽業界の成長を生み出すのだろうか。今後の事態の成り行きを、注意深く見守っていきたい。