軽自動車のエンジンで420km/h! ホンダの超絶マシンを一般公開中

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S660のエンジンをベースに今年9月に世界記録を樹立!

東京都港区にあるホンダ ウエルカムプラザ青山では、FIA公認競技である「Mike Cook’s Bonneville Shootout」で、軽自動車のS660のエンジンをベースにしたユニットで、400km/hを超える世界最高速記録を樹立したマシン「Honda S-Dream Streamliner」を展示中だ。期間は12月9日(金)まで。


この競技はアメリカにある干上がった湖にできる塩の平原で最高速を競うという内容。Honda S-Dream Streamlinerは、1マイルの測定区間で421.446km/h、1キロの測定区間で421.595km/hを記録した。これはCategory A・Group 1・Class 4(自動車・レシプロ過給エンジン・排気量500〜750cc)というクラス分けにおける世界記録となる。


このプロジェクトは日本人チーム16人によって成し遂げられたもの。社内公募で人員を募り、約100人の応募があったなかから16名を選抜し、たった1年という短い期間でマシンのコンセプト作りから開発、実車の製作、競技でのタイムアタックまでを成し遂げた。参戦初年度での世界記録樹立は初だという。

わずか1年! たった16人で偉業を成し遂げた

プロジェクトの目的は若手の技術者を育てる「人材育成」だと語るのはプロジェクトのLPL(ラージ・プロジェクト・リーダー)を務めた蔦 佳佑さん。

「もちろん量産車の開発も育成にはなりますが、ユーザーの好みが評価に影響するので、結果の良し悪しがわかりにくい世界ではあります。一方でレースはハッキリと結果が出るので、育成の場に向いているいうことですね」、とのことだ。


たった1年で1からマシンを作り上げるプロジェクトに16人というのは非常に少ない。「16人しかいないので、全部署が揃っていません。たとえばサスペンションの専門家、ミッションの専門家、純粋な空力担当もいませんでした」と、蔦さん。

だから普段やったことのない部分を担当するのだという。たとえばチーフメカニックを担当したのは、普段パソコンのソフト管理を業務とするメンバーだったとのこと。

S660のエンジンでやりたい! エンジニアの強い思い

疑問に思うのはなぜS660のエンジン、軽自動車のエンジンをベースにしたのかということだ。パワートレインを担当した末永充史さんによれば「まず参戦クラスが決まっていて、450km/hという目標が設定され、そこでこの車体で発生する空気抵抗に打ち勝つには250馬力が必要だ、という具合にザックリとエンジンの要件が考えられました」

「ではどのエンジンを使うかということが検討され、1リッターや1.5リッターをダウンサイジングすることも考えたのですが、決め手は『自分たちがやりたいエンジンはどれか?』 ということでした。それがS660のエンジンだったんです」

もちろん強度やどこまで性能上げられるか、スペックでも検討されたが、その候補に残ったなかでエンジニアたちの思いがS660用のエンジンを選択させたということだ。

最小回転半径はなんと約100m!

ところで、全長約8.7mという、もはや自動車というよりも新幹線や主翼のない飛行機のような形状のこのマシンはどういうクルマなのか。前述の660ccのエンジンをドライバーの後ろに縦置きし、シーケンシャルの6速ミッションを組み合わせるリヤ駆動を採用している。

車体担当の酒井敬史さんによれば「ステアリングの舵角やタイヤの転舵角は市販車でいうところの最小回転半径約100m以下になるように設計されました。これはこの競技でスタート位置まで取り回すのに必要な数値を下調べし、走行中は通常の高速道路を運転するような領域の微細な舵角で操舵するような値の仕様になっています」という。


いずれにしてもホンダは、660ccのエンジンで400km/hを超える速度に達したのだ。この信じられない偉業を達成したマシンをぜひその目で見てほしい。

また、より詳細なチャレンジ秘話は後日WEB CARTOPにて公開する予定なので、ぜひそちらもお楽しみに!

(文:WEBCARTOP編集部 石田貴臣/写真:WEBCARTOP編集部 米澤 徹)