連続テレビ小説「べっぴんさん」(NHK 総合 月〜土 朝8時〜、BSプレミアム 月〜土 あさ7時30分〜)第7週「未来」第39回 11月16日(水)放送より。 
脚本:渡辺千穂 演出: 安達もじり


39回はこんな話


さくら(河上咲桜)がすっかり英輔(松下優也)になついてしまい、ついに家に泊まってもらうことに。

英輔、泊まっちゃうのか!


「さくらちゃんは天使やわ」とまで言って、さくらを可愛がる英輔。
妹を戦争で亡くしたのもあるだろうし、やっぱりすみれ(芳根京子)が好きだから、その娘には格別な感情が沸くのだろうか。
さくらは何を喜んでくれるだろうかとすみれに聞き、顔を見せてくれるだけで嬉しいと言われて「さくらちゃん、さくらちゃん」と大喜びなのは、ほんとは、すみれの名前を呼びたいのではないかと思ってしまう。
そこに邪念がなくとにかく純粋な好意だから、英輔を応援したくなり、次第に紀夫(永山絢斗)のことが薄れてきた視聴者も多いのではないか。

ついに喜代(宮田圭子)が気をきかせて泊まっていくように言う。さすがおつきの者、すみれのためにいい働きをする。でも、いいの? まだ未亡人じゃないのだ、すみれは。ゆーたら未未亡人だぞ(なにそれ)。
それに、紀夫がそのうち帰ってくると思うと見ていて辛い。
1話で紀夫のことを映しているのは、あとのショックを大きくしない配慮なのだろうか。こんなにいい感じだと、あとから紀夫が帰ってきたら、ショックで立ち直れない視聴者もいるだろう。
英輔には余計なお世話だが明美(谷村美月)をおすすめしたい。

鈍い人たち


だがしかし、すみれは英輔に気持ちが移りつつある様子が微塵もない。さくらが喜んでくれることが嬉しいだけのよう。なんて鈍いんだ。
鈍いといえば、潔(高良健吾)。
忠さん「あれはほの字や」 潔「誰が誰にや」
忠さん「どう見てもほの字や」 潔「んなアホな」
どんな鈍さなのか・・・
だから、ゆり(蓮佛美沙子)が変わってきた理由もわからない。うーん。

闇市問題


すこしずつすこしずつ戦後の日本の社会が変わろうとしています。
もがきながら前を向きはじめる人々。
すみれもまたそんな時代を必死に生きているのです。(語り/菅野美穂)

37話で「ここが変わり目なんや」と変わりつつある姿を見せた闇市元締めの根本(団時朗)が、いよいよ行動に出る。集会を開き、場銭をなくす宣言。女性と子供が安心して来られる場にするために適正価格にして自警団を作ろうと持ちかける。

朝ドラでは闇市が出てくることがよくあると以前のレビューで書いたが、その描写はかなりソフト。
映画だと凄まじい。東京の「野良犬」(49年/黒澤明監督)、広島の「仁義なき戦い」(73年/深作欣二監督)、神戸の「神戸国際ギャング」(75年/田中登監督)など枚挙にいとまないが、かなり危険な場所に見える。とりわけ女には。だから、「べっぴんさん」で英輔が泊まってくれたほうが安心は安心(闇市に住んでるわけではないけど)。
大阪の闇市が舞台だと「新・悪名」(62年/森一生監督)。ここでは、主人公(勝新太郎)が戦争から帰って来たら戦死したことになっていて、妻は再婚してしまっている(涙)。

現在公開中、話題のアニメーション映画「この世界の片隅に」(片渕須直監督)でも闇市描写がある。

「べっぴんさん」ではみんなが幸せになってほしいです。
(木俣冬)