寒い日と暑い日で「食べたくなる味」が変わりませんか?

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執筆:桜 イクミ(管理栄養士・健康運動指導士・フードスペシャリスト)

暑い時には冷やし中華がよく売れて、冬になると鍋物が人気をはくします。

また季節によって、商品の売れ行きや味つけも変わります。

気温と味覚にはおおいに関係がありそうです。しかしそれはなぜなのでしょうか。

今回はこの「気温と味覚の関係」について詳しく解説していきましょう。

気温によって食べたいものが変わる?

気温が上昇する暑い時期は、体温と気温の差が少なくヒトの身体は体内で熱を作る機能が低下し、基礎代謝も低下します。

一方気温が低下する寒い時期は、体温と気温の差が大きく、ヒトの身体は体内で熱を作る機能が上昇し、基礎代謝は上昇します。

夏は暑く、基礎代謝が低下することで食欲が減退します。そのため、酸味やさっぱりした味が好まれます。

反対に、気温が低くなると基礎代謝が上昇するため、食欲も増加しやすく、カロリーの高い食品や濃い味つけを好むようになります。

気温によって売れる商品が違う?

コンビニ、スーパーやレストランなどの外食産業でも、季節によって売れる商品が異なるようです。

気温が上昇すると、冷やし中華、梅干しのおにぎり、豆腐サラダ、酢の物、きのこや、和風のスパゲッティ、ビール、アイスクリームなどがよく売れるそうです。

これらの商品には清涼感があり、さっぱりしたものだったり冷たいものなどの傾向がで出ています。

反対に気温が低下すると、おでんや鍋、肉まん、ツナのおにぎり、ミートソースのスパゲッティ、カルボナーラ、日本酒などがよく売れるようです。

気温が下がると、温かいものや味つけが濃いめで、こってりとしたものが売れるという傾向がでています。

私たちは無意識に気温にあった食事をとっているといえます。

季節によって味を変えている商品も!

季節によって味を変えている商品もあります。

たとえば、ペットボトル飲料のお茶の中には、季節によって味や香りを変えている商品があります。

春や夏は新緑の季節なので、すがすがしい爽快感をだし、気温の上昇や身体の基礎代謝の低下にあわせて、さっぱりした味わいになっているそうです。

そして秋や冬は、香ばしい香りやほっこり感をだし、気温の低下や身体の基礎代謝の増加にあわせてカロリーが高そうなしっかりとした味わいに調節されています。

飲料メーカーの商品開発でも季節や気温の変化を意識していることが窺えます。

移住したら味覚は変わるの?

東日本、とくに東北の寒い地方は味が濃く、西日本は味が薄いと一般的にいわれています。

東北地方を例にとると、食材の保存のために塩漬けにしたものの多いのが特徴です。また、身体を温める鍋物の文化も豊富です。

このように、気候や背景に合わせた食文化が発達しているといえるでしょう。

そこで疑問になってくるのが、「薄味といわれる西日本から東北に移住すると、濃い味に順応していくのか」ということです。

もちろん、環境が変わることによって味に慣れていくということは起こるのですが、味覚の形成に重要な時期は3歳までという見解もあります。

少なくとも、新しい味になれたとしても、もともとの食習慣の方が味覚には大きく影響している、というのが目下のところ定説となっています。

気温が味覚に影響するのはヒトの身体のしくみに大きく関係しています。そして、私たちは無意識に身体の求めている食事を摂っているといえます。

その季節や気温にマッチした食事をおおいに楽しみたいですね。

<執筆者プロフィール>
桜 イクミ(さくら・いくみ)
管理栄養士・健康運動指導士・フードスペシャリスト
株式会社 とらうべ 社員。病院での栄養管理・栄養指導の経験を経て、現在は企業で働く人の食と健康指導を行っている。