(写真提供=SPORTS KOREA)JTBC

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韓国の政治スキャンダル“崔順実ゲート”。日本の各メディアでも連日報道され、韓国では毎日のように朴槿恵大統領の退陣要求デモが繰り広げられる大問題となっている。

そんな特大級のスキャンダルを世に知らしめた韓国メディアをご存知だろうか。

『JTBC』の“スクープ力”

大手テレビ局や一般紙ではなく、有料放送チャンネル『JTBC』だ。

『JTBC』は“多彩な楽しみ”をスローガンとして放送事業を運営しており、ニュース、ドラマ、芸能、教養、時事番組を編成している。

2011年3月21日に中央日報社の出資で創立し、2011年12月1日に開局。前身は東洋放送(1964年5月〜1980年11月)だ。2014年基準で資産総額は1877億6018万3419ウォンとなっている。

代表的な番組は報道部門の『ニュースルーム』、芸能部門の『非正常会談』などだろう。

2014年末から崔順実に注目

そんな『JTBC』が崔順実に着目したのは2014年。

2014年12月1日に報じた「“陰の実力者”騒動チョン・ユンフェ、口を開く…“私のすべてを捜査せよ”」という記事を発端と見ることができるだろう。

チョン・ユンフェとは補佐官で、セウォル号沈没事故発生時に朴槿恵大統領が密会していたとされる人物のこと。当時は“空白の7時間”などと呼ばれ、チョン氏との関係がさまざまに噂された。

その密会について報じた『朝鮮日報』の記事を引用し、『産経新聞』Webサイトに関連コラムを掲載した加藤達也元ソウル支局長は、韓国大統領府から名誉毀損で起訴されている(無罪判決)。

補佐官チョン・ユンフェは崔順実の前夫だ。

『JTBC』は2014年12月5日に「青瓦台(大統領府)本当の陰の実力者はチョン・ユンフェではなく崔順実?」というニュースを報道。

「最初はチョン・ユンフェ氏によって論議が開始されました。ところが現在はチョン・ユンフェ氏を超えて、陰の実力者騒動がその元夫人であり、故崔太敏(チェ・テミン)牧師の娘である崔順実氏にまで拡大している様相です」

そしてこの時点で、崔順実と朴槿恵大統領の関係が1986年から始まったことなどを解説している。

しかし、ここからは報道が途絶える。崔順実に関する問題が再注目されたのは、2016年7月になってから。

『TV朝鮮』がミル財団と大統領府の関係について一石を投じた。設立2カ月で大企業から500億ウォン(約50億円)近い資金を集めた民間財団は、大統領府のバックアップを受けていたという報道だ。

そういった“疑惑”に対して、9月20日にはトブロ民主党議員が「ミル財団とKスポーツ財団に対する国民の疑惑が持ち上がっている」と指摘しながら、本格的に疑惑を提起していくことを明かした。

大統領府関係者は「野党の主張は証拠のない一方的な推測。崔順実氏が財団と関連していたという主張もとんでもない話」と完全否定。そこから崔順実の娘チョン・ユラ氏が特恵を受けていたといった報道も出るが、あくまで疑惑に過ぎないという状況が続いていた。

その疑惑が確信に変わる“爆弾”を投下したのも『JTBC』だった。

崔順実のPCを入手する離れ業

「崔順実PCファイル入手…大統領演説前に演説文を受け取った」(2016年10月24日)

チョン・ユラ氏やミル財団など崔順実関連の情報を徹底取材していた『JTBC』は、なんと崔順実のパソコンを入手したのだ。

「JTBC取材チームは崔順実氏のコンピューターファイルを入手して分析しました。崔氏が大統領の演説文を受けとっていたという事実を確認することができました」

こう報じた記事には、コメントが殺到。

「JTBCの独占報道は鳥肌が立つ内容が本当に多い」
「受信料をJTBCにあげることはできないのか?」
「JTBCニュースルームを応援します」
「命をかけて取材する記者やプロデューサーの苦労と真心を忘れてはならない」

その報道の翌日10月25日、朴槿恵大統領は演説文の流出について国民に謝罪。以降の展開は、日本でも報じられている通りだ。

ちなみに、パソコンの入手経緯は「問題の“崔順実ファイル”こうやって入手した…経緯公開」という記事で明らかになっている。

崔順実はいくつかの事務室を持っていたそうだが、いずれもすでに引越していて、証拠となるようなものは何も残っていなかったという。ただその一カ所で崔氏が建物の管理人に処分してほしいと置いていった荷物があった。

『JTBC』のソ・ボクヒョン記者が了承を得てその荷物を確認し、PCを発見したそうだ。

番組内の「簡単に言えば捨てられていたということ?」という質問に、ソ・ボクヒョン記者は「そうです。ですから、すぐに処分されてもおかしくない状況でした。私たちはそのPCに大統領府の資料がたくさん入っている事実を確認しました」と答えている。

まさに執念が生んだスクープだろう。

現在も崔順実ゲート関連の報道で“文春砲”ならぬ“JTBC砲”を連発し、韓国国民から絶大な支持を受けている『JTBC』。今度はどんなスクープを報じるのだろうか。

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(文=呉 承鎬)