74歳を迎えたばかりのスコセッシ監督が新作『沈黙』について語った/Photo Credit Kerry Brown

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遠藤周作によって生み出され、“戦後日本文学の最高峰”とも称される小説を、刊行50年の時を経て映画化する『沈黙-サイレンス-』(2017年1月21日公開)。本作の監督を務め、原作と出会って以来、映画化を熱望してきたというマーティン・スコセッシが作品に込めた思いを語った。

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現在74歳のスコセッシ監督は、『タクシードライバー』(76)でカンヌ国際映画祭パルム・ドール、『ディパーテッド』(06)でアカデミー賞作品賞と監督賞を獲得するなど、名実共に世界のトップを走り続ける名匠。

そんなスコセッシ監督は「初めて『沈黙』と出会ったのは1988年のことでした。私は、度々作品の中で裏社会を描いてきましたが、さらにいろんなテーマを深堀りしていかなければならない、言葉ではなんとも表現できない領域に到達しなければならないと感じていました。それは“信じることとは何なのか”というテーマです」

「数年後から脚本の執筆が始まり、2006年にようやく執筆が終わりました。20年という歳月を経ていますのでその間、夫になり、父になり、私自身もこの小説と共に成長を遂げたと思っています。そういう思いがあってやっと今回作るに至ったのです」と原作との出会いから、制作に至るまでの道のりを明かした。

また、「現代社会は、決して優しくありません。正しい考え方など分からないとも言わざるを得ません。だからこそ私は、考えることを放棄すべきではない、逆にもっと深く探求しなければならないと思うのです。だからこの映画を作ったのです」と話し、原作が持つ普遍的なメッセージによって彼は突き動かされたようだ。

冒頭にスコセッシ監督がテーマだと言った“信じること”については、「信じるということは今でも、劇中のロドリゴやフェレイラのように試練と感じる時もありますし、自然と享受できるものではない。自らが欲して勝ち取らなければならないものだと思います」

「人は日々、人間とはなんなのか、良い存在か、悪しき存在なのかということを考えていますが、それが信じるとはなんなのかを探る過程なのだと思います」と彼なりの考えを解説。

最後にスコセッシ監督は、「『沈黙』のストーリーが私の心をつかんでやまないのは、異文化の衝突を描いているからです。信じるという信仰を心底理解するためには、ありとあらゆる衝撃を通過しなければならないのです」

「そしてこの物語において、やはり異文化のなかにキリスト教を持ち込むわけですから、少しずつ削っていかなければならないわけです。こうして削っていく行為こそ、その神髄に至る過程なのだと思っています」と締めくくった。

数々の名作を世に送り出してきたスコセッシ監督が、満を持して挑んだ日本生まれの『沈黙-サイレンス-』。キリシタンの弾圧が行われていた江戸初期の日本に渡ってきたポルトガル人宣教師の目を通し、人間にとって大切なもの、人間の弱さとはなにかを描きだす本作の完成は間近だと伝えられている。【Movie Walker】