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11月第3木曜日がやって来た。そう、ボジョレー・ヌーヴォー解禁である。2015年はボジョレー・ヌーヴォーの帝王、ジョルジュ・デュブッフ氏も認めた"最高のヴィンテージ"であった。さて、2016年はどのような仕上がりとなったのだろうか。

○環境は平和なものではなかった

雨が降ろうが雹が降ろうが、ボジョレー・ヌーヴォーは今年もできた。思い返してみると、残念ながらこの春、ボジョレー地区に本当に雹(ひょう)が降ってしまった。2015年のヌーヴォーが手放しのいい出来であった分、心配倍増である。「はて、今年のヌーヴォーはどうなっちゃってるんだろう」と、懐疑的に今回の会見に望んだ。

登壇したのはボジョレーワイン委員会会長ドミニク・ピロン氏。氏は3カ月前に同職に就いたばかりの生粋のボジョレーっ子だ。今年のヌーヴォーについては以下の通り発表された。

ボジョレーの2016年ヴィンテージは、フランスの他の産地と同じく平和なものではなかった。春の気まぐれな天候のために、造り手たちはぶどう畑に出る時間を増やし、監視を強めた。第2四半世紀にボジョレーを通過した雹のために、収穫の一部を失った生産者もいる。

しかし、夏はぶどうの成熟に理想的な天候だった。収穫前の数週間は暑く乾燥していたため、樹、造り手双方に休息の時間をもたらした。収穫の時期も晴天に恵まれた。まるで自然からのお詫びのしるしであるかのような好天のインディアンサマー(小春日和)で、自然は太陽を出し惜しみしなかったようだ。

○過去5年平均を40%上回る収穫量

実際にテイスティングしたボジョレーの栽培・醸造研究所のベルトラン・シャトレ氏は、「力強いというよりもエレガントで、酸と果実味、ストラクチュアとのバランス、そして爽やかさと味わい深さとのバランスがすばらしい」と発言。収穫量はボジョレー全体で75万〜85万hlで、過去5年平均を40%上回る結果となった。

「ヌーヴォーは一昔前の"量"の時代ではもうない。今は"質"の時代。フルーティーでアロマが豊か、そしてストラクチャーもしっかりとある自由な表現をできるガメイという品種はすばらしい。そしてそのガメイを使ったヌーヴォーが世界中の同じ時刻に開けられる、なんていうイベントはほかのどこにもないでしょう」と話すピロン氏は、まさに"お国自慢"満遍の笑顔であった。

同時に「ボジョレー騎士団授与式」も執り行われた。世界中に支部がある同騎士団だが、今年日本にも発足するにあたり、主にボジョレー・ワインの普及に貢献している6人のコンパニオン(騎士)が選ばれた。授与された6人は以下の通り。

Christophe Paucod(クリストフ・ポコ)氏: レストラン「ルグドゥノム・ブション・リヨネ」(東京・神楽坂)オーナーシェフ。1998年より在日
石塚奈帆美氏: エモントレーディングカンパニー代表。フランス農事功労章(Ordre du Merite Agricole)受章
山本博氏: 弁護士、執筆家。フランスワインの著作多数。フランス農事功労章(Ordre du Merite Agricole)受章
五鬼上泰樹氏: シニアソムリエ。ワインを学ぶ会「五鬼塾」主宰。ボルドーワイン委員会(CIVB)認定講師
佐藤秀良氏: SOPEXA JAPON ワイン・コーディネーター。元・日本ソムリエ協会(JSA)事務局長
Charles Durand(シャルル・デュラン)氏: SOPEXA 日本代表、およびアジア・パシフィック統括。農事功労章シュヴァリエ(Chevalier du Merite Agricole)受章

さて、"お国自慢"のその味はいかに!? 続く後編では、ヌーヴォー4種をソムリエが試飲し、その味わいをお伝えする。

(小山田貴子)