青山周平という名前を聞いて、聞き覚えのある名前だと思う中国人は多いことだろう。2015年、青山氏は東方衛星テレビの人気番組「夢想改造家」に出演し、北京胡同にある古い家屋を暖かなムードの空間にリフォームして、大きな関心を集めた。

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青山周平という名前を聞いて、聞き覚えのある名前だと思う中国人は多いことだろう。2015年、青山氏は東方衛星テレビの人気番組「夢想改造家」に出演し、北京胡同にある6.8平方メートルほどの古い家屋を暖かなムードの空間にリフォームして、大きな関心を集めた。また、上品で穏やかな雰囲気とイケメンぶりによって、多くの視聴者が彼に好感を抱き、彼は大いに人気を集めた。人民網が伝えた。

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12日午後、青山氏、2人の中国人建築家、日本大使館に集まった100人以上の来場者が、「伝統と未来」「旧空間の改造」というテーマを巡り、それぞれの考え方をシェアした。

青山氏は高校生の時に、父親の影響を受けて建築デザインに興味を抱くようになった。2005年に東京大学大学院を修了したのち、中国にやって来た。その後、中国での生活は10年間に及んでおり、北方工業大学建築学部で教壇に立ち、清華大学では建築学部博士課程に在籍、建築設計事務所B.L.U.E.を設立するなど、さまざまな顔を持つようになった。

○伝統と未来が混在する場所・胡同
青山氏は過去10年間の北京生活のうち、胡同には7〜8年住んでいる。この地での生活を通じて、青山氏はさまざまな興味深い発見をした。胡同に住む人々は、生活のいろいろなシーンで互いに深く関わり合っており、公私の境目は極めてあいまいだ。このような自由で開放されたライフスタイルこそ、未来の方向の一つであると青山氏は考えている。とりわけ大都市に住む若者は、外出するときには配車アプリ「滴滴出行」や「Uber」を使い、何か食べたいと思ったらデリバリーアプリで注文するというように便利なツールに慣れているので、生活空間も胡同のように楽ちんな方法で隣人とシェアすることができない訳がない。

胡同での生活に啓発され、青山氏は「400箱」という名前の共有コミュニティモデルを打ち出した。ライフスタイルが独立志向に向かいがちな現代の若者にとって、「家」はもはや家庭を単位とする「2LDK」や「3LDK」という従来の概念にとらわれず、皆が日常生活を営む上で満足できると同時に多様な形式の共有空間を持ち、自然と同じ趣味を持った人同士が集まることができる場所になった。共有することによって、家はますますコンパクトになり、生活そのものはますます拡大している。

○「我が家」に戻った感覚にさせる公共スペース
胡同の旧家リフォームで一躍有名になった青山氏だが、中国で他にも多くの作品を完成させている。これらの作品の中で、「家」は、彼がとても関心を注いでいる概念だ。例えば、北京国子監(元・明・清時代の最高歴史文化機関)にある雑貨店「失物招領(Lost&Found)」のデザインに、青山氏は「家」という概念を取り入れ、寝室やリビングルーム、書斎、ダイニングルームなどの家庭空間を造った。ここを訪れた人々は、店内の商品を見てからすぐに帰るのではなく、まるで自分の家にいるかのように、本を読んだり、お茶を飲んだり、お喋りしたりしてくつろいでいる。各人の小さな「家」が拡がり、一つの大きな公共の「家」が出来上がったのだ。

よく似た作品に、北京の東四の「未読club」がある。ここは本棚のない24時間営業の書店で、店内には360度回転する椅子が18脚置かれている。読者はここで自由に読書を楽しみ、好きな時に他の人と交流することもできる。あらゆる書籍・雑誌の販売業務はすべてオンライン上で手続きできる。したがって、このオフライン実店舗の存在意義は、顧客が読書や交流体験ができる共有スペースを提供することにあり、ここはまるで各人の書斎の一部分のようになっている。

○なぜ「伝統」への回帰なのか?
今回の対談のテーマは建築の「伝統と未来」で、3人のゲストが「旧空間の改造」をめぐる多くの実例を紹介した。「なぜ伝統への回帰なのか」という問いに対し、青山氏は次のように語った。

「現代の我々の生活においては、簡単に取って替わられるモノがあまりにも多い。例えば、スマホは新製品が出ればすぐに旧型から新型に替わる。洋服は流行が過ぎるとすぐに新しいものに替わる。さらには、我々の感情でさえもスピード消費されている。このような環境で、我々は自分自身も同様に取って替わられるのではないかという疑いを抱き、自分の存在意義について疑わしく感じてしまう。このようにして生まれる不安は、私たちから決して離れることはない。一方、伝統や一部の『古い』モノは、時間の経過に伴い、あるいは使い続けていくうちに成長し、他に取って替わられることはない。現代の人々は、まさにこの点に惹かれ、『旧空間』がますます注目を集めているのかもしれない」。

○人々の感覚に立ち戻ることが原則
インターネットやSNS上で、青山氏がこれまでにリフォームした作品の一部が、しばらく経ってから再び元の形に戻されていると伝えられた。このような現実との違いについて、青山氏は、「建築家の仕事に意味がないとは思っていない」と話す。彼にとって、建築家の存在意義は、「人々の生活に影響を及ぼすこと」「一種の可能性を提供すること」「別の生活スタイルを提示すること」にある。設計の目的は、家を美しくすることではない。青山氏にとって大事なことは、その家で生活する家族がいかに生活するかという点だ。人々の生活習慣は簡単には変わらないが、このような考え方は種子のように広まっていく可能性がある。

どのような設計であれ、最終的には人々の感覚に立ち戻ることが原則で、「心地良さ」が最も重要だ。青山氏がかつて話したように、「重要なのは家という空間ではなく、生活であり、生活を取り巻く人々の感情」なのだ。(提供/人民網日本語版・編集KM)