選手は監督の意図とするサッカーは十分に理解している。今後はそれを成熟させることプラス、個々の選手とパスサッカーの質を高めていくことが必要だ。
 
 果たして、それをハリルホジッチ監督に任せていいのか。日本はブラジル・ワールドカップ後に掲げた目標に向かって進んでいるのか。今のままでワールドカップに勝てるサッカー、勝てるチームになるのだろうか。 
 
 サウジアラビア戦は、ちょうど最終予選の折り返しである。ブラジル・ワールドカップの悲劇を繰り返さないために、東京都知事が東京五輪問題などで示したように1度立ち止まって冷静に考えるべきではないか。
 この監督で走り出しているし、とりあえず結果が出たので現状のままで良いという話にはならない。あくまでブラジル・ワールドカップ後に掲げた目標達成のために現状がどうか、今後どうなるのかを、勝った今だからこそ冷静に判断するべきだろう。

 ロシア・ワールドカップ最終予選は現在サウジアラビア、日本、オ-ストラリア、UAEの4チ-ムが勝点1差内にあり、稀に見る大接戦になっている。過去の最終予選のように1、2試合を残して予選突破にはならず、最後の10試合目まで厳し戦いが続くだろう。それこそが最終予選だが、今のままでは予選を突破できてもワールドカップで勝てる姿が見えない。

 このモヤモヤは、今のままではブラジル・ワールドカップと同じことを繰り返してしまうかもしれないという危機感が発するシグナルだ。サウジアラビアに勝ってもなお、そのシグナルが発信されていることを軽んじてはいけない。

文:佐藤 俊(スポーツライター)