清武のPKで先制した日本は、2−1でサウジアラビア戦をものにした。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

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[ロシアW杯アジア最終予選]日本 2-1 サウジアラビア/11月15日/埼玉

 なんかモヤモヤしている。
 たしかに大一番とも言えるサウジアラビアに2-1で勝った。勝点3を奪えたことは良かったが、なにか引っかかるものを感じた人も多かったのではないだろうか。
 
 サウジアラビア戦では、オマーン戦で結果を出した大迫勇也や若い久保裕也らフレッシュな選手を出してチームを活性化させた。前からプレッシングを掛け、パスサッカーで攻勢を強め、PKをもらい、80分に欲しかった2点目を奪った。多くのチャンスを作り、運も味方につけ、流れ的には悪くない試合展開だった。
 
 だがモヤモヤが晴れない。
 それは試合内容的なもの、たとえば試合の終わらせるところの詰めの甘さだったり、カウンターを受けた際の守備だったり、露見した課題についてもあるが、最大のモヤモヤはこのチ-ムが果たしてワールドカップで勝てるチ-ムになるのだろうかということだ。
 
 ブラジル・ワールドカップは個々のクオリティを上げ、チ-ムの完成度を高めて挑んだ大会だったが1勝もできず、グループリーグ最下位で敗退した。過去最強と言われたチームの惨敗に選手自身を含め、多くの人が大きな衝撃を受けた。だが、これで逆にロシア・ワールドカップに向けてのテーマが明確になった。
 
 ワールドカップで勝てる監督を選択し、世界で勝てるチーム作りを進めていく。
 ザッケローニの時もそうだったが、より世界を意識した目標になった。アギーレは残念ながら退任したが、その次に選ばれたのがハリルホジッチだった。ブラジル・ワールドカップでアルジェリアを指揮し、ベスト16に導いたその成功体験からスピードとフィジカルの強さを求める縦に速いサッカーを日本に持ち込んだ。
 
 しかし、アフリカ人が持つ肉体的な強さや質とは違う日本人がアルジェリアのようなサッカーを体現できるはずもなく、最初はチームがなかなか機能しなかった。アジア2次予選のシンガポール戦ではまさかの引き分けとなり、最終予選の初戦・UAE戦では逆転負けを食らった。
 危機感を覚えた選手はオマーン戦前に話し合い、意図的にパスサッカーを展開するようにした。それが機能し、オマーン戦では複数の選手が関わるパスワークから大迫のゴ-ルが生まれた。
 
 その中心にいたのがロンドン五輪世代だ。サウジアラビア戦では、その世代である清武弘嗣、山口蛍、酒井宏樹、原口元気、大迫勇也の5名が一緒にプレーした。彼らはそれぞれパスサッカーを主体として成長してきた。U-23日本代表でもアジア予選の時はそのサッカーで勝ち進み、世代特有のサッカー観ともいうべきものが共通意識としてある。彼らがいたことでスムーズなパスサッカーが展開できたのだ。
 
 サウジアラビア戦もオマーン戦からのスタイルが継続されたが、“つなぐ”という点では相手のサウジアラビアも負けてはいなかった。動きが組織化され、パスの出し入れがうまい。日本はサウジアラビアの選手がこねた瞬間を狙ってボ-ルを奪っていたが、日本が2点目を奪って引いた80分以降は、時間をかけないシンプルな相手の攻撃にかなり手を焼き、失点してしまった。

 ザッケローニ時代は、2点目を取れば3点目を狙い、相手に決定的なダメージを与えていったが、今のチームにそこまでの余裕はさすがにないようだ。
 
 だが、フレッシュな選手とパスサッカーによって、閉塞的だった時期を打開しつつある。今後はハリルホジッチ監督が求めるサッカーに選手が自発的にやり始めたパスサッカーを融合させていくことになるのだろうが、気になるのがこれからの伸びシロだ。