ヤンキース・田中将大【写真:Getty Images】

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米メディア特集、田中への“過小評価”は「恥ずべきこと」

 メジャー3年目を終えたヤンキース田中将大投手が“過小評価”されているとの声が米国内で上がっている。米メディア「ファンラグ・スポーツ」が「マサヒロ・タナカはたびたび見落とされ、正当に評価されていない」との見出しで特集記事を掲載している。

 2014年に楽天からポスティングを経てヤンキースに入団した右腕は1年目の前半戦で快投を続けたものの7月に右肘靭帯の部分断裂が判明。治療を経てシーズン終盤に復帰を果たしたが、以降、現地では肘の状態を不安視する報道が続くことになった。

 2年目も故障離脱があり、2年連続で規定投球回に届かず。1年目は20試合の登板で13勝5敗、防御率2.77、2年目も24試合の登板で12勝7敗、防御率3.51と2年連続で2桁勝利を挙げたものの、7年総額1億5500万ドル(約169億円)の大型契約だったこともあり、物足りなさを指摘する声も少なくなかった。

 しかし今季はシーズンを通して先発ローテを守り、3年目にして初めて規定投球回に到達。31試合に先発し、自己最多の14勝(4敗)、リーグ3位の防御率3.07をマーク。199回2/3とわずかにシーズン200イニングに届かなかったが、エースとしてチームを牽引し続けた。特にオールスター明けの後半戦は活躍が際立ち、13試合の登板で8勝2敗、防御率2.83の好成績を収めた。

ヤンキースファンは「タナカを責める新たな理由を探した」!?

 夏場には米メディアの間でもサイ・ヤング賞候補に挙げられた右腕について、今回の特集では「タナカはヤンキース、そして野球ファン両方に見過ごされている。おかしいじゃないか。でも、これが真実だ」と指摘。「ヤンキースファンがタナカを嫌っているわけではない。ただ、彼が渡米して以来、ファンは彼の実績を正当に評価してこなかった。それは恥ずべきことだ。彼の投球を楽しむ代わりに、彼らはタナカを責める新たな理由を探したのだった」と常に批判の目にさらされてきた様子をレポートした。

 そんな田中について記事では高評価に値する要因について言及しつつ、「タナカはヤンキース最高の先発投手であるだけでなく、2016年の野球界で最も頼りがいのある先発だった。シーズンを通じて安定した投球を見せた」と称賛。登板数、投球回数、奪三振(165)、被ゴロ率(48.2)ともにキャリア最多を記録したことを特筆している。また被本塁打が2年目よりも減少したことも成功した要因の一つとしている。

 さらに後半戦の奮闘やスプリットの有効性などにも言及し、「タナカはメジャーで3シーズンを経験した。彼はニューヨーク・ヤンキースで最も重要な投手である。2017年、ヤンキースファン、そして野球界は、渡米以降の彼の実績を正しく評価するだろう」との文で締めくくっている。

 チームは最終的にプレーオフには届かなかったが、田中がいなければ、その争いに加わり続けることも難しかったに違いない。右肘の不安を払拭し、エースとしての信頼を取り戻した28歳。米メディアが予想するように来季はさらに評価を高めることができるか。4年目の飛躍が期待される。