男性より、女性の寿命が長いのはどうして?

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執筆:南部 洋子(助産師・看護師・タッチケア公認講師)

男性よりも女性の寿命が長いことは、皆さんご存知のことでしょう。いわゆる「平均寿命」というものです。

しかし、どうしてそのような差が生まれてくるのか、考えたことはありますでしょうか?

実はいくつか理由があるようです。詳しく見ていきましょう。

平均寿命とは

日本大百科全書によると、「その年の男女別にみた年齢死亡率が将来もそのまま続くと仮定して、各年齢に達した人たちが、その後平均何年生きられるかを示したものを平均余命(よめい)といい、出生時、つまり0歳時の平均余命を特に平均寿命」といいます。

5年ごとに行う国勢調査での簡易生命表によると、2014年の平均寿命は男性が80.50歳・女性が86.83歳で、女性は3年連続世界一、男性は世界3位にランクインしています。

日本は長寿国だということです。

このままいくと、2050年には男性80.95歳・女性89.22歳にまでなると考えられています。

男女差については、2014年に6.33歳だったものが8.27歳になり、今後はますます広がるだろうと予測されています。

ちなみに明治の時代でも男性が42.8歳、女性は44.3歳となっていて、当時から女性のほうが長寿でした。

そして世界的にみても、女性のほうが寿命は長い傾向なのです。その理由をみていきましょう。

理由その1:ホルモンの違い

女性ホルモンのエストロゲンには、血圧を下げる・LDLコレステロール(悪玉コレステロール)の血中濃度を下げるなどの働きがあり、高血圧や動脈硬化を防ぐ効果があります。

エストロゲンが出ている閉経前の女性には、心疾患が少ないのはそのためだと考えられています。

ですから、死亡に結びつきやすい心疾患や脳血管疾患が女性に少なく、寿命を延ばす一因となっています。

理由その2:基礎代謝の違い

基礎代謝とは生きていくために最低限必要なエネルギーのことをいいます。

男性より女性のほうが基礎代謝量は少なく、それだけ少ないエネルギーで生きていくことができます。つまり、環境の変化に適応しやすいといえます。

また基礎代謝量が多いということは、その副産物である活性酸素も増えてしまいます。

そうすると、細胞レベルで障害を起こし、病気が起こるもとになるので、寿命が短くなるともいわれています。

理由その3:疾患の違い

男性と女性では、かかりやすい病気に違いがあります。

厚生労働省の「患者調査」によると、男性、女性それぞれに多い病気は以下になります。

男性に多い病気


痛風、胃がん、心疾患、狭心症、肺炎、アルコール性肝炎、尿路結石など

女性に多い病気


骨粗鬆症、アルツハイマー病、関節症、脂質異常症、カンジダ症、膀胱炎、甲状腺炎など

日本人の死因トップ3は「がん・心疾患・肺炎」ですが、いずれも男性のほうが患者数は多いのです。このような病気に女性がかかりにくいことが、寿命を延ばしている一因でもあります。

女性がかかりやすい病気の代表は「骨粗鬆症」ですが、他の病気いずれもが、高齢になってからかかる病気です。それもあって、女性は健康寿命が長い傾向にあるのです。

理由その4:特性の違い

女性には月経があり、化粧をすることで鏡を見るので、男性よりも自分の健康状態を気にする習慣が身についているといえます。

医療機関に受診する頻度は女性の方が高いという統計もあります。また女性は食事の栄養バランスを気にしたり、アルコール摂取量や喫煙習慣も少ないでしょう。

自分の生活習慣を見直そうとする傾向が、寿命を延ばしていることにつながっているのでしょう。

そして女性はいくつになっても趣味や友人関係などを作り、行動的で気分転換もうまく、ストレスの管理が上手なようです。

男性は定年退職した後、家にこもりがちですね。

女性が男性よりも寿命が長いのは、子孫を産み、育てるという意味で「種の保存」ということもあるのかもしれません。

最近は、健康寿命の大事さが叫ばれています。

寝たきりのまま命を長らえるよりも、日常生活に支障がなく元気に生きて「ピンピンコロリ(病気に苦しむことなく、元気に長生きし、病まずにコロリと死のうという意味の標語)」を男性も女性もが望まれますね。

<執筆者プロフィール>
南部 洋子(なんぶ・ようこ)
助産師・看護師・タッチケア公認講師・株式会社 とらうべ 社長。国立大学病院産婦人科での経験後、とらうべ社を設立。タッチケアシニアトレーナー