<世界各国では社会成熟に伴って仕事を重視する傾向は低下するのが普通だが、なぜか日本は先進国で唯一、途上国型の「仕事重視」思考から脱却できていない>

 日本人の「働き過ぎ」が言われて久しいが、その是正に向けた取組もこれまで進められてきた。週休2日制が普及し、ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)が謳われ、2014年には過労死防止法も制定された。

 しかし統計によると、成果の程は定かでない。男性労働者の平日1日あたりの仕事時間は、1976年の478分から2011年の497分に増えているし、睡眠時間は逆に485分から438分に減っている(総務省『社会生活基本調査』)。

 昨年暮れには、大手広告代理店の若手社員が過労の末に自殺する事件が起きたが、月の残業時間は100時間にも及んでいたという。日本人のワーカホリックは未だに治癒しておらず、むしろ悪化する傾向さえ感じられる。

【参考記事】このままでは日本の長時間労働はなくならない

 働くことに対する意識も、ほとんど変わっていない。「今後の変化として、仕事に重きが置かれなくなること」という項目に対し、「良いことだ」と答えた国民の割合が30年間でどう変わったかをグラフにすると<図1>のようになる。時系列データが得られる、他の主要国との比較もしている。

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 日本の回答は80年代の初頭とほぼ同じだが、他の3カ国では、仕事に重きを置かない意識が強まっている。スウェーデンは、15.6%から47.0%と3倍以上に伸びている。通常は社会の成熟に伴い、仕事一辺倒の価値観は薄れていくものだが、そのような国際的趨勢から日本だけが取り残されている。

舞田敏彦(教育社会学者)