「家売るオンナ」の猪股隆一監督ら制作チームが監督賞を受賞

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北川景子が主演したドラマ「家売るオンナ」(日本テレビ系)。「不動産業界のあるあるを面白く描きながら、毎回いろんなテーマがあって心に刺さる名せりふも多かった」との賛辞を集め、第90回ザテレビジョンドラマアカデミー賞で作品賞、主演女優賞、助演女優賞、監督賞の4冠を獲得した。主人公・三軒家万智の決めせりふ「GO!」で風を吹かせる演出や万智のロボットのような動き方など、あえてリアリティーの反対を行く演出が新鮮だった「家売るオンナ」の監督、猪股隆一氏に撮影秘話を聞いた。

【写真を見る】作品賞、主演女優賞、助演女優賞も「家売るオンナ」が獲得/イラスト=カトリーヌあやこ

――まずは 受賞の感想と、猪股監督にとってどのようなドラマになりましたか?

演出は僕と、佐久間紀佳くんと山田信義くんと3人で撮ったんですが、代表してお礼を申し上げます。全てのスタッフと、キャストと、何よりも見てくれた視聴者の方にいただいた賞だと思いますので、そのお礼を申し上げたいです。

――ドラマで登場する特徴のある物件探しは苦労されましたか?

これは苦労しましたね。全話難しかったですね、天窓がある物件探しも難しかったですし。実際に物件探して行くわけなんですけど、行くと当然ながら部屋に何も置いてなくて。空のところにとこ行くとイメージがわかなくて、それが一番困りましたね。空の部屋は画にならないんですよ(笑)。狭小住宅みたいなものは最初からセット作ろうと、脚本の大石静さんとも話してました。作ること前提だった物件もありますし、台本に合わせてスタッフが探すこともありましたし、両作戦で探しました。

――物件以外にも、チラシもリアルで細部までこだわりを感じました

普通のドラマにはいないんですが、今回はリサーチ担当をつけました。不動産のこのくらいの場所と坪数ならいくらぐらいとか、広告にはこういう文言が書いてあるとか。うそくさい、漫画っぽいドラマでしたけど、ここに関しては逆に資料に基づいて忠実に作りましたね。

――「登場人物のキャラクターで見せていく」ことにこだわられたそうですが、三軒家万智(北川)と白洲美加(イモトアヤコ)の掛け合いも人気でした。

イモトさんは破壊力のある女優さんなので、やっぱり、北川さんにとっても、非常に刺激的だったのではないかと思います。あの2人の掛け合いが予想以上に、台本以上に面白くなっていった部分はあると思います。今回は漫画的なお芝居なんで、どこまでやるかっていうのを結構探り合いながらしてしまう場合もあるんですが、今回は皆さん振り切ってやってくれたので遠慮せずにやれました。

――イモトさんは、現場で監督と話し合いながら役を作り込んでいると聞きました。

白洲美加という役は、大石さんも「最後まで成長しない役」と言っていて(笑)。特に、ダメダメな人間、救いようがないキャラクターなので、どうしたもんかなと思っていたときに、イモトさんの初めのシーンが泣くシーンだったんですね。当初は、普通に泣いていたんですけど、「オーバーにやってくれませんか」とお願いしたら、そのオーバーさが桁外れ的で子どもが泣いたみたいに「ワァー!」って、いきなり1階から20階まで行ってしまったみたいな感じで(笑)。イモトさんの演技の変化が破壊的なときがあってみんな驚くことが多々あったんですが、そのときに「これだ」と思ったんです。それが非常にはまったなと。イモトさんも「要するに白洲は子供なんですね」とおっしゃってて、それが非常にはまったなと。この方向でやっていくとイモトさんはとってもすごい芝居をするんじゃないかと予感はしました。

――キャラクターに加えて、演出部分でも面白いという声がありました。

台本読んで、「GO!」っていったので画を浮かべたとときに、カメラで寄るべきだなと。当然風圧は起こるので、風でもあててみようかと。一番心配したのは女優さんにこんな汚い扇風機あてるので、事前に北川さんに「風当てたいんですけど」と相談したら、ニッコリ笑って「はい、どうぞ」と即答してくれたので、けっこう遠慮なく風あてさせていただきました(笑)。ぼくらの約束事で、北川さん・三軒家さんの“奇跡の風”ということで絶対他の人には吹かないという決め事がありました(笑)。

――最後に、猪股監督にとってどのようなドラマになりましたか?

とても楽しい現場だったので終わってしまって寂しいです。いまだにスタジオに行って、会社(のセット)があって、皆さんとお会いして芝居ができたら楽しいだろうなと思っております。2クール、3クールやっても全然楽しくできたなと思うので…でも(三軒家は)辞めちゃったんですよね(笑)。