連続テレビ小説「べっぴんさん」(NHK 総合 月〜土 朝8時〜、BSプレミアム 月〜土 あさ7時30分〜)第7週「未来」第38回 11月15日(火)放送より。 
脚本:渡辺千穂 演出: 安達もじり


淡々と、淡々と、自分にそう言い聞かせているすみれです(語り/菅野美穂)

「淡々と」という言葉の響きが妙に心に残ります。

38回はこんな話


あさや靴店の隣の隣の輸入家具屋さんが店じまいをした跡に、ベビーショップを移転することに。
ベビーだけでなく子供服も作って置こうと、夢は広がる。

優しい灯り


不安との戦いは自分との戦いと言います。
なぜなら不安は自分のなかにあるからです。
不安や孤独を知っているからこそ
誰かの優しさやあたたかさが染みるのです。(語り)

ドラマの最初は「淡々と」で最後はコレ↑ 
ドラマの中盤、すみれのために、復員省まで紀夫を探しに行ったお父さん五十八(生瀬勝久)が帰ってきて、ランプの灯りの下でゆり(蓮佛美沙子)と潔(高良健吾)と語り合うときに、
「優しいいうことは強いいうことや」
「辛いこと悲しいこと、そういう気持ちを知っとる人間が強くなれるんや、優しくなれるんや」
と言ったことと似ている。さすが、夫婦(語りは亡くなった妻・はなの設定)。というか、まるで夫の言葉を妻が受けているようで、亡くなってもなおはなは五十八と共に娘を見守っていると思わせる。

その頃、やっぱりランプの灯りの下で、すみれは紀夫のことを思う。
朝のドラマでこんなに薄暗いシーンばかりあっていいのか、と心配になるが、38回はなおも薄暗いシーンが続く。
新店舗を、夫たちに見せてここで仕事を拡大する許可をもらおうとする良子(百田夏菜子)と君枝(土村芳)。
店じまいした建物なので電気が停まっている設定だろう、ここも薄暗い。夕方だし。だからこそ、子どもたちがお面に怯える。

怯えた子供たちをお父さんたちがあやし、家族水入らずで帰っていく姿を見送るすみれとさくら。
「さくらの寂しさをすみれは痛いほど感じていました」(語り)
確かにさくらは、じっーと、良子たちが帰っていく方向を見ている。お父さんという概念がはっきりなくても、
なんか足りない感じはあるのかな。そのさみしさをまたまた英輔が(松下優也)が救う。
英輔がさくらと仲良くなればなるほど切なさが募る。

みんな不安で孤独


でもさくらよりも、町にいる靴磨きの子や花売りの子などのほうがもっと孤独なのだというように、彼らの場面が挿入される。
言葉が少ないドラマだが、彼らの存在は雄弁だ。
明美が、花売りから花を買い、店に飾る。彼女は「不安や孤独を知っている」。すみれも寂しいけれど、明美だって口に出さないけれどかなり不安で孤独だろう。でも「淡々と」と自分に言い聞かせて生きている。がんばれ。
(木俣冬)