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こころの未来・インスティテュートはこのほど、「自然言語処理フィードバック機能搭載型インターネット認知行動療法」(iCBT-AI)の活用により、将来の重症抑うつ者割合の減少可能性が示唆されたことを発表した。

同研究は、慶應義塾大学 医学部 精神・神経科学教室、独立行政法人経済産業研究所、統計数理研究所リスク解析戦略研究センターと共同で行ったもの。人工知能(AI:Artificial Intelligence)で人のこころが癒やせるのかについて検証を行った。

現在、うつ病を改善するための取り組みとして、適応的な考え方や行動習慣を修正する「認知行動療法(CBT)」が注目されている。英国をはじめとする諸外国ではセラピストに頼る前にインターネットを活用した自習での認知行動療法(iCBT)が推奨されており、軽症うつ病治療の第一選択として、公的医療制度においてもiCBTが導入されているという。

しかし、iCBTは短期的には抑うつ症状の改善するものの、「効果が持続しない」「途中でやめてしまう脱落者が高い」「患者の社会機能の改善にはつながらない」といった課題が示されているとのこと。そこで、専門家の代わりに人工知能をiCBTに応用し、これらの課題の解決方法について探るため、同研究に着手した。

研究には、人工知能技術の一つで人が日常で使う微妙なニュアンスを含む自然な言葉遣いをコンピューターに理解させる「自然言語処理技術(NLP:Natural Language Processing)」を、完全自習型e-learningであるインターネット認知行動療法(iCBT:internet-based Cognitive Behavior Therapy)を応用した。

研究では、被験者を3群に分類した。一つ目は、被験者が入力した悩みを人工知能が読み取り、自動生成した言葉で共感の言葉を示すとともに、自習作業における適切なアドバイスを行う「自然言語処理フィードバック機能搭載型インターネット認知行動療法」(iCBT-AI)の群。二つ目は、AIを使用しない以外の機能はiCBT-AIと全く同じスペックを有する通常型iCBT群、三つ目は、待機群。どの群が最もうつ症状の軽減効果が大きいかなどを、無作為統制試験で検証した。

その結果、脱落についてはiCBT-AI群が、iCBT群に比べて有意に低いというデータを得た。

重症うつ者の場合は、介入期間終了直後には通常のiCBT群、iCBT-AI群ともに待機群に対して有意さは認められなかった。しかし、3カ月後のフォローアップでは、iCBT-AI群のみにおいて約半減(改善)が有意傾向で認められた。

また、開始時における軽症うつ者に限り、3カ月後のフォローアップ時を比較したところ、iCBT-AI群だけが待機群に対して重症うつ者が約1/3と有意に低い値が示された。このことから、軽症うつ者の将来のうつ状態の重症化を減少させる効果は、人工知能を用いたiCBT-AI群にだけ有意に認められる可能性も示唆されたという。

(フォルサ)