ピッチをアグレッシブに上下動した原口は、チームを攻守両面で支えた。(C) SOCCER DIGEST

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 サウジアラビア戦は終盤に1点を許したものの清武、原口のゴールで2-1と勝利し、日本はワールドカップ出場圏内に浮上した。その後の試合で、オーストラリアがタイに引き分けたため、日本は2位で前半戦を終えることになった。

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 それにしても、サウジ戦は全員が相手に対してしっかりプレッシャーを掛けるべく、よくディフェンスに走る姿が印象的だった。そうやって前から連動して追っていくことで、ボールを奪った時にスムーズに攻撃へ転換できたし、攻めに推進力も生まれていた。
 
 やはり今回はオマーン戦を調整の場として使えたことで、日本のコンディションの良さを感じた。9月のUAE戦、10月のイラク戦はどうしても動きの重さが目についたものだが、今回はオマーン戦で主力は最低限の起用に止め、サウジ戦に照準を合わせられたのが大きかったのだろう。
 
 この試合でハリルホジッチ監督は、ひとつの大きな決断をした。これまでチームの主軸を担ってきた本田や香川、岡崎といった選手たちをベンチに置き、代わって1トップに大迫、トップ下には清武を起用し、そして右サイドには代表2戦目の久保を抜擢。前線の顔ぶれが大きく変わった。
 
 大迫と清武のふたりはオマーン戦でも、その実力を十分に発揮していたし、サウジ相手にもやれるのは分かっていたけど、22歳の久保もまずまずの出来で、チームの中でしっかり機能していた。ただ、少し意気込みが強すぎたのかボックス内でもう少し落ち着いて対処できれば、ゴールも奪えたかもしれないね。
 
 そしてなんといっても原口だ。攻撃的な選手だけど、よく帰陣してディフェンスをやり、そこからまたフルパワーで最前線まで駆け上がるというプレーも序盤から何度か見せていた。あの往復のスプリントは、清武の冷静なボールコントロールとともに、本当にチームを助け勇気づけるものだった。
 
 そうした仕事をやりながら、最終予選で4試合連続ゴールという結果を出して見せたのは、まったく見事というほかない。海外で揉まれてきた成果を、しっかりと代表に還元している良い例と言える。

 
その一方で、途中出場になった本田と香川は、少し原口や清武といったフレッシュな顔ぶれに比べて影が薄く感じたのは、私だけではなかったはずだ。もちろん、本田はオマーン戦に比べたら随所にいいプレーがあったし、ゴール前ではチャンスに絡めていた。香川にも原口の2点目につながるスルーなど効果的なプレーもあった。
 
 それでもサウジ戦に関しては、原口や大迫、清武といった既存の主軸たちの次の世代、つまりロンドン五輪世代の選手たちがしっかりと自分の強みを押し出すプレーをして輝きを放っていた。もはや、本田や香川頼みのチームではなくなったように思える試合だった。
 
 とはいえ、香川も年齢的にはロンドン五輪世代の選手で、清武と同じ89年生まれだそうだね。現時点ではゲームメイクや運動量といった点でも、はるかに清武のほうがいいと感じるけど、香川ももっと自分を出して積極的に人を動かしたり、自分がやりやすいようにやればいいんだよ。せっかくいいモノを持っているのだからね。
 
 ただ、「自分を出す」といっても所属チームであまり出場できていない現状では、それも難しい。やはり自分本来のフォームを取り戻すためにも、まずは来年3月の次の試合までにしっかりと所属チームでポジションを掴むことが重要になる。
 
 これは、香川に限ったことではなく、欧州組全体に課せられた宿題だろう。次の試合をいかなる戦略・戦術をもって戦うかなんて、周りがああだこうだ言ったって、監督にしか分からないこと。それよりもまず選手たちは、試合できちんと自分のパフォーマンスを出せるコンディションを作ることに集中してほしい。そのためにも、試合に出続けることが必要だ。
 
 今回、いいパフォーマンスを見せてくれた清武にしても、所属チームではハイレベルなライバルたちとの競争に苦戦を強いられている。シーズン前半戦は出場機会が限定されがちな日本人選手が多かったが、後半戦の巻き返しに期待したいね。毎回コンスタントに試合に出られる状態になって、3月のUAE戦(23日)、タイ戦(28日)を迎えられれば、ワールドカップ出場も自ずと近づいてくるはずだ。