「財務」を経営の武器にしている日本企業10選

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これからの企業経営に重要な役割を担うのはCFOとその組織だ。フォーブスジャパンが選ぶ、ファイナンスの優れた企業10社を紹介する。

1. 日立製作所
「IoT」を軸にする「非連続の改革」についてファイナンスとして支援。変化対応力ある経営基盤構築を目指す「スマトラPJ」への参画やBPOベンダーとの連携などの取り組みも。

2. 花王
ファイナンス部門として”絶えざる革新”を続け、EVA経営の基盤を作る。古くは1980年代の「キャッシュレス」にはじまり、2000年代に入ってからもGCM、IFRSの導入と続く。

3. 村田製作所
経理・財務に加え、企画部門も指揮下に置き、将来に向けた新たなファイナンス組織の構築に動いている。M&Aなどにも積極的に対応できる体制を目指している。

4. 京セラ
経営理念を実現するための独自の経営管理手法である「アメーバ経営」。その中枢にある創業者・稲盛和夫氏の「会計学」に基づくファイナンス戦略は欠かせない。

5. オムロン
IRにおける情報開示に定評があり、また、ポートフォリオマネジメントと合わせ、ROICの逆ツリー展開・翻訳式により現場にまで浸透させる「ROIC経営2.0」の実戦をサポート。

6. トヨタ自動車
資本市場との”新しい対話の形”として、元本が保証される「AA型種類株式」の発行を評価した。株主を選ぶという、一般のファイナンス理論に迎合しないユニークさを評価。

7. エーザイ
CFO(最高財務責任者)のファイナンス理論を高く評価した。機関投資家からの評価も高く、資本市場との対話という観点で選出した。

8. ソニー
厳しい業績から”負け組”と揶揄されたソニー。その復活の過程で分社化など平井一夫社長の「構造改革」を支えた。資本市場との対話においても評価は高い。

9. コマツ
経営状態と経営環境の「見える化」には定評あるが、経営・財務管理面においても、管理レベルをシンプルにしてグローバルに管理プロセスの統一を実現している。

10. 信越化学
「簿記は武器」という伝統のもとオーソドックスに優れていると言える。元顧問で元金融監督庁の故・金児昭氏の「経営と会計はイコール」という哲学を引き継いでいる。

選考基準
ファイナンスは”飛び道具”ではなく経営資源の配分にいかに貢献するかという観点から、CEOをはじめビジネス側との連携による企業価値への貢献のほか、新たな組織構築や資本市場との対話、という点を重視した。

「これからの企業経営にとって、CFO(最高財務責任者)とその組織は、”帳簿屋”ではなく、変革をリードしていく存在であるべきだ。日本企業の中でも、その取り組みや役割において特徴的な人や組織が出始めている」

日本CFO協会専務理事・谷口宏はそう話す。2015年の企業統治指針(コーポレートガバナンス・コード)導入や14年の日本版スチュワードシップ・コード策定により、ROE(自己資本利益率)を目標値にした”攻めの経営”による稼ぐ力の向上や株主との対話の充実が必要になり、CFOの役割は増している。
 
こうした中、ROEを経営目標に掲げる企業が増え、「ROE経営」が注目されている。同指標を意識して自社株買い、配当も増えている。実際に、自社株買い実施企業は前年度で635社と前年度より3割増加。

その一方で、15年度の東証1部企業のROEは平均7.3%と、14年度7.4%を下回るという結果もある。

「ROEの改善が数値だけという企業もある。”質”が伴っていなければ持続的成長につながらない」(谷口)。

「阿吽の仕組み」を構築できるか

「グローバル競争の中、日本企業は収益性、成長性において、グローバル企業と大きな開きがある。その差を埋めるために、M&A(合併・買収)や新事業といった足し算をするには、自社の将来像に位置づけられない事業や有効活用できなくなった資産を整理する必要がある。そのためには、低収益の事業を引き算し、将来を見据えてリソースをシフトしていく─。こうした引き算の決断を実行に移す、先導するCEOとそのパートナーであるCFOのリーダーシップが欠かせない」(デロイト トーマツコンサルティング パートナー、日本CFO協会主任研究委員・日置圭介)。