無尽蔵のスタミナでフィールドを駆け回った原口。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

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[ロシアW杯アジア最終予選]日本 2-1 サウジアラビア/11月15日/埼玉
 
 原口はいったい何キロ走ったのだろうか。後半に入っても一向に足を止めることなく、走って、走って、走りまくる。ワールドカップ最終予選での4試合連続弾という新記録が注目されがちだが、それ以上にクローズアップしたいのがあの半端ない運動量とデュエルの強さだ。

「(4試合連続ゴールについて)特別な気持ちはない。勝ててホッとしている。そっちのほうが大きいです。
 
 ゴールは本当におまけみたいなもの。もちろん点が取れて良かったですけど、それ以外に大切な部分がたくさんある。ゴールにばかりとらわれず、チームとしてやってきたこととか、ポジティブなものがたくさん見せた。そのほうが重要だと思います」
 
 「ゴール以外に大切な部分」──。原口の言葉を拝借すれば、それは「ボールを失った後の切り替えやデュエルのところ、奪い返した後のスピードアップとか」になるだろう。
 
 原口の凄さを実感させられたのが40分のシーンだ。
 
 前線でのチェイシングが及ばずサウジアラビアの選手にサイドへボールを展開されても、足を止めずに自陣まで懸命に戻り、センターサークル付近からスピードアップして抜群の寄せでボールを奪い返す。さらに味方にボールを預けて、自分はすかさず敵陣にダッシュする……。結局、原口めがけて蹴られたボールが長すぎてゴールラインを割ってしまうのだが、見た目以上にハードな上下動を繰り返した原口のタフネスには感動すら覚えた。
 
「戻って、上がって、さらに戻ってというのが自分の特長。今日は切り替えが良かったし、相手が余裕を持つ前に潰せたのが一番上手くいったポイントかなと思います。(攻撃から守備へ)切り替わった後、見るんじゃなくて取りに行けた。監督の言う、デュエルの部分を発揮できた試合かなと思います」
 
 「見るだけじゃなく、取りに行けた」。ここも、原口の素晴らしい点だ。コースを切りながら奪うところまで実践するのは、なかなかできない。それをロスタイムも含めてやり抜くのだから、原口はまさにモンスターだ。
 
 本人は「まだまだな部分が多い。僕自身のクオリティが高ければ、簡単に2点目、3点目が入っていた」と言うが、「まだまだな部分」を差し引いてもサウジ戦のマン・オブ・ザ・マッチ(MOM)は文句なしに彼だ。最終予選で4試合連続弾を決めたからではなく、「勝利のために戦う」姿勢をピッチの上で十二分に見せてくれたこそのMOMである。

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 今や原口は日本を掌握しつつある印象だ。
 
「ヘルタでやっている良さが出たと思う。今日は僕だけじゃなく、(守備が)あまり得意じゃないキヨ君(清武)も頑張っていたし、全員がやったからボールを奪えた。そういう意味でチーム全員が頑張った、良いプレーをしたなと思う」
 
 そうした選手の頑張りを引き出したのが、原口とも言えるだろう。あれだけピッチを駆け回りボールを追いかける彼の姿を見て、チームメイトが燃えないわけがない。
 
「チームを鼓舞しようとする時はありますけど、別に引っ張ろうと思ってやっているわけじゃない。ただ勝ちたいから声を出すし、球際で戦う。それで他の選手が何かを感じてくれたら、もちろん良いとは思いますけど、特別にチームを引っ張ろうという意識はないです。自分の仕事をどれだけブレずにやれるか。そういうスタンスが僕に合っている」
 
 原口は11月シリーズ前のサッカーダイジェストの独占インタビューでそう言っていたが、もはや彼のエネルギッシュなプレーが日本の原動力になっていると言っても大袈裟ではない。ゴールシーンを振り返っても、シュートの精度以上に素晴らしかったのは体力的にきつい時間帯でもあの位置に走り込んでいたタフさだ。
 
「これだけテンションが高く、ハードにできれば日本のほうが技術的に優れているわけですから。これを最低限なラインにしたいし、これを続けたい」
 
 そうさらりと言ってのける原口は、今や日本でもっとも頼れるアタッカーだ。あれだけの走りを見せられては、批判などできない。

取材・文:白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)

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