14日、平岩俊司関西学院大教授が講演。北朝鮮は「核保有前提の『現状凍結』を交渉材料にしたがっている」と指摘した。また「オバマ政権の戦略的忍耐で北朝鮮は米国を怖がらなくなり、その結果、安保面での対中依存度も低下した」と分析した。

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2016年11月14日、北朝鮮の動向に詳しい平岩俊司関西学院大教授が日本記者クラブで講演した。北朝鮮にとって「核開発はもはや対米交渉カードではない。核保有前提の『現状凍結』を交渉材料にしたがっている」と指摘、核開発の中止を米国の譲歩を引き出すための材料としてないとの見方を示した。また「オバマ政権の戦略的忍耐で北朝鮮は米国を怖がらなくなり、その結果、安保面での対中依存度も低下した」と分析した。その上で、「体制崩壊は目前」と韓国内などの一部で観測されていることについて、「非現実的」と一蹴した。発言要旨は次の通り。

クリントン政権からブッシュ政権への交代期には、米朝協議も進んでおり、多くの専門家はブッシュになったとしても大きく変わらないだろうと見ていたが、ブッシュ政権は北朝鮮をイラク、イランと並ぶ「悪の枢軸」と呼び、敵視した。米国の大統領の個性、考え方が全体の雰囲気をつくっていくことになり、トランプ政権も独自の外交を展開、大きく転換させる可能性がある。

北朝鮮にとっての核ミサイル問題はもはや交渉カードではなく、明確な核保有の事実を前提とした『現状凍結』を交渉材料にしたがっている。オバマ政権の(対北朝鮮攻撃や対話を控える)戦略的忍耐政策により、米国からの脅威が低下し、中国の影響力が減った。中国の目標は、北朝鮮の核放棄と朝鮮半島の非核化であり、長い時間をかけて仲介役を果たすことだ。北朝鮮を批判する一方、国際社会にも冷静な対応を要求する戦術を取っている。

「ブッシュ大統領と(その後の)オバマ大統領が展開した『戦略的忍耐』は、核強国を相手にするという難しい負担を新政権に押し付けただけだ」との米クラッパー国家情報長官の発言を朝鮮労働新聞が取り上げ、「北朝鮮の核放棄は不可能」として「慎重な報告をした」と論評した(11月10日付)。同長官の発言は北朝鮮からすれば歓迎し得るだろう。

トランプ政権と中国が協力するか対立するかによって、北朝鮮の意味が変化する。中国は休戦協定から平和協定、北朝鮮の核放棄に繋げる「同時並行協議案」を推進するだろう。

北朝鮮の体制崩壊は目前と韓国内などでで観測されているが、「非現実的」である。金正恩体制は、若い指導者の経験不足を官僚、経済評論家、ベテランが補てんする体制であり、多くの課題はあるものの一定の安定を保っている。(八牧浩行)