後半35分、FW原口元気が右足で最終予選4戦連発となる追加点を決める

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[11.15 W杯アジア最終予選 日本2-1サウジアラビア 埼玉]

 もう1点が欲しい後半35分だった。攻勢をかける日本は、攻撃をつくり直したところから左サイドのDF長友佑都がFW本田圭佑とワンツーで敵陣深くえぐってゴール前に折り返す。グラウンダーのボールはMF香川真司の左足をかすめるようにゴール中央へ転がると、そこにいたのがFW原口元気(ヘルタ・ベルリン)だった。右足を振り抜いて決めたゴールは2-1の決勝点となった。

 FW三浦知良、FW呂比須ワグナーの3戦連発を超える史上初のW杯アジア最終予選4戦連発で日本代表の歴史を塗り替えた。沸き立つスタンド。しかし、当の本人は意に介せず、言った。

「特別な気持ち? いやあ、ないですね。とりあえず勝ててホッとしています。そっちのほうが大きい。ゴールなんて本当におまけみたいなもの」

 ゴール以上に大事だったのは何か。「取られたあとの切り替えやデュエル、取ったところのスピードアップ。良いところがたくさん出た。切り替えたあとに、見るのではなく、一歩詰めて取りに行くところが今日はできていた。相手が余裕を持つ前に一つひとつつぶせていた。やっと監督が行っていたデュエルが発揮できた試合だと思う」。これこそが胸を張る理由だった。

 9月1日のUAE戦で1-2と敗れた。現行方式になってからアジア最終予選の初戦で黒星を喫したチームがW杯本大会に勝ち進んだことは今までなく、「予選突破確率0%」の発進となった。当時、ボランチとして途中出場した原口も唇を噛んでいた。しかし、自身が先発を勝ち取り、ゴールを決めてきた4試合で勝ち点10を奪った。チームは苦しみながら成長してきた。

「正直、僕はオーストラリア戦もアウェーの戦い方ができて良かったと思っている。僕のミスが出て、勝ち点3ではなかったけど、ああいうミスがなければ勝ち点3を取れていた。今日のようにテンション高く、ハードにできれば、日本のほうが技術的には優れている。これを最低限のラインにしたい」

 次の代表戦は来年3月になる。それまで4か月。「自分についてはまだまだな部分が多い。今日も僕自身のクオリティーが高ければ簡単に2点目、3点目が入っていた。またヘルタに戻って、そういうところにもっと磨きをかけていきたい」

 この日の試合が行われた埼玉県で生まれた。子供の頃から才能は図抜けていた。未来の至宝として埼玉県内のだれもが大事に育てたいと念じていた。25歳の背番号8は日本を次のステージへ押し上げる力を身につけた。

(取材・文 矢内由美子)


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