屈強な相手CBにまったく臆せず、次々とポストプレーを成功させた大迫。日本代表の攻撃に新たな側面をもたらした。写真:サッカーダイジェスト写真部

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[ロシアW杯アジア最終予選]日本 2-1 サウジアラビア/11月15日/埼玉
 
 日本代表のCFはここ数年ずっと、岡崎慎司の事実上の“聖域”と化していた。チャンスを与えた浅野琢磨やハーフナー・マイクに先発を託せる目途が立たず、岡崎が故障していた10月11日のオーストラリア戦では本田圭佑を右ウイングから回して凌いだほど、人材不足のポジションだ。
 
 しかし、ロシア・ワールドカップ出場に向けての大一番となった11月15日のサウジアラビア戦でヴァイッド・ハリルホジッチ監督は、実績で大きく上回る岡崎をベンチに置き、大迫勇也をCFのスタメンに抜擢。1年半ぶりの代表戦となった4日前のオマーン戦では、格下相手の親善試合とはいえ2ゴールを挙げた大迫に懸けたのだ。
 
【日本 2-1 サウジアラビア|PHOTOギャラリー】清武、原口のゴールでグループ首位を撃破

 結果的に、この采配は吉と出る。
 
 何よりも際立っていたのが、ポストプレーの確度だ。身体の厚みが倍はありそうな相手の屈強な両CBの圧力に晒されながらもしっかり身体を入れてボールを収め、清武弘嗣のミドルシュートを引き出した1分のプレーをはじめ、絶妙なキープ&落としで2分、17分、28分、41分、42分に次々とチャンスを構築する。
 
 そして、43分にも後方からのボールを収めて起点を作り、清武のPK奪取を演出する。これを清武がきっちり決めて、日本は先制に成功したのだ。
 
 また、13分、28分、31分にはドリブルで仕掛け、20分と39分にはいずれも失敗したが自らシュート。とにかく積極性が目立ち、少なくとも前半は、決定機のほとんどに絡む「攻撃の軸」だった。
 
 右ウイングが久保裕也から本田圭佑(46分)、トップ下が清武から香川真司(65分)に代わった後半は、前半の時よりも大迫の“依存度”は薄まった。
 
 それでも大迫は前半から好連係を見せていた原口に加え、本田や香川とも良い距離間を保ち、攻撃の起点として機能。サウジアラビアの守備陣はなかなか潰れない背番号15にイライラを募らせてファウルを連発し、92分には大迫を倒したオサマ・ハウサウィが退場処分を受けた。
 
 また、守備では献身的なプレスバックを披露。原口のシュートに繋がった62分をはじめ、そのボール奪取やプレスからカウンターに繋がったシーンが何度もあった。93分に岡崎との交代でピッチを退くまで、まさに攻守で際立った存在感を見せた。
 
 結果的に2戦連続のゴールは決められなかったが、サイドにも頻繁に流れて周囲の飛び出すスペースを作るなどいわばムービング型CFである岡崎と違い、基本的にはペナルティーエリアの幅に留まってポストプレーとフィニッシュを担う基準点型CFの大迫は、当初の期待通り日本代表の攻撃に新たな側面と可能性をもたらした。
 
 この2試合で大迫が岡崎との序列を覆したと断言するのは時期尚早だが、残り5試合となったアジア最終予選、そしてロシア・ワールドカップに向けて、ハリルジャパンが大きな収穫を得たのは間違いない。

取材・文:白鳥大知(サッカーダイジェストWEB)