【コラム】本田の背中に見た覚悟。スタメン落ちの屈辱から再起を誓うエースの胸中とは――

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 屈辱の表れだったのか、それとも反攻への覚悟なのか。

 15日のサウジアラビア戦に2−1で勝利を収めた日本代表。だが、試合を終えてミックスゾーンに姿を見せた本田圭佑(ミラン)は記者団の呼び掛けにも足を止めることなく、足早に通路を通り抜けながら「今日はみんなが良かった。みんなに聞いてあげてください」とだけ言い残して、チームバスへと乗り込んだ。

 15日のサウジ戦で先発メンバーから漏れた本田。11日に行われたオマーン戦後にヴァイッド・ハリルホジッチ監督が「試合のリズムが足りない」と本田のプレーに不満を漏らしたことで、メディアが連日のようにサウジ戦でスタメンから外れる可能性を報じてきた。そして迎えたグループB首位との勝負の一戦、スターティングイレブンに彼の名はなかった。2010年の南アフリカワールドカップから長らく日本代表の大黒柱として君臨し、ハリルジャパンでも中心選手として不可欠な存在だっただけに、本人にとっては想定外の事態だったに違いない。

 サウジ戦に向けた練習後、スタメン落ちの可能性について聞かれた本田は「外すっていう選択肢にはいろんな意味があると思うので、その意味を監督が説明する必要があるし、自分自身も納得できるものであれば、受け入れる必要はある」とコメントしていた。その上でその場合は指揮官に対しても「意見を求めるというか、当然ながら監督はそういう義務がある」とも話していた。

 結果、サウジ戦では定位置だった4−2−3−1の右MFを久保裕也(ヤングボーイズ)に譲る形となった。だが、久保の負傷を受けて後半開始からピッチに立つと、積極的に裏のスペースへの飛び出しを狙い、スタメン落ちの屈辱を結果で見返そうとゴールへの意欲も前面に押し出した。守備でも献身的なプレーを見せ、攻撃面でリスクを背負いすぎず、その上でチームの勝利に向けて存在感を出そうとしている意識も感じられた。そして80分には左サイドへ流れて攻撃の起点となり、原口元気(ヘルタ・ベルリン)の追加点を演出。一定の結果は残したとは言える。

 だが、本田自身はスタメン落ちにも、2点目の起点になったことにも、決して納得はしていないのだろう。ミックスゾーンで立ち止まらなかった理由には、もちろん言葉にできない悔しさもあったはずだ。所属のミランでレギュラーポジションを奪い返し、試合勘とコンディションを上げて、再び日本代表で絶対的な立場を得るために――。多くを語らずにスタジアムを後にした“金狼”の後ろ姿に、さらなる成長を誓う彼の覚悟を見た気がした。

文=青山知雄