JR博多駅前の道路で大規模な陥没事故が起きた11月8日、現場から約2キロの大相撲九州場所(13日初日)の開催が心配されたが、設備や運営面を担当する三保ケ関親方(元幕内栃栄)は「陥没の状況は心配だが、会場に特に影響はない」と話した。
 福岡国際センターで始まる九州場所。最大の注目は、先場所の覇者、豪栄道(30)の“綱取り”だが、この、今年最後の場所に復活をかける力士たちからも目が離せなくなっている。

 横綱白鵬の状態はどうか。
 「先場所、右足や左ひざに負ったケガの影響で、横綱になって初めて全休。あと3勝に迫っている史上3人目の1000勝達成を狙って稽古に励んでいますが、新入幕の石浦にあっけなく負けるなど、いまだ完治には程遠い状態です。『豪栄道の壁になる』と意気込んでいますが、厳しいでしょうね」(担当記者)

 同じモンゴル出身の逸ノ城も、復活を期す力士の一人。
 「逸ノ城は、腰痛で先場所全休し、十両落ち寸前の幕尻まで番付を下げました。出場は明言しているものの、いまもって関取との稽古はできない状態。ぶっつけ本番で挑むことになりそうですが、モンゴルの怪物と呼ばれたかつての活躍はとても望めそうにありません
(同)

 これら力士の中で、とりわけ悲壮感に溢れているのが、幕内の優勝決定戦に進出した力士では平成16年春場所の北勝力以来、史上2人目の幕下転落力士となる豊ノ島だ。
 「左のアキレス腱を断裂して2場所連続全休し、幕下に転落した豊ノ島も厳しい闘いになるのは必至です。年齢もすでに33歳。若い力士たちに交じってどこまで踏ん張れるか。肉体面だけでなく、精神面も試されそうです」(同)
 との評価を受けても、
 「復活を遂げて幕内優勝を狙うという気持ちでいっぱい。大相撲史に残るようなドラマチックな力士になってやろうと思っています」
 と前向きな姿勢を見せる豊ノ島。
 だが、現実は過酷だ。先場所までは100万円を超える給料が出たが、幕下になれば無給。付け人もつかず、個室ももらえず、若手力士たちと大部屋暮らしだ。食事も風呂も関取たちの後で、まわしすら黒の木綿製になる。

 「長い間、関取でいたので、いろんな面で厳しいと感じる。でも、こうなった以上、受け止めてやるしかない。このまま終わるような自分ではない、と信じている」
 そう自分に言い聞かせる豊ノ島は、10月30日に福岡入り後、徐々に稽古も再開。この意気込みで、弱った足腰や、鈍った相撲勘をどこまでカバーできるか。

 陥没事故の復旧も着々と進んでいるようだし、九州場所では白熱した取り組みを期待したい。特に幕下の土俵が面白そうだ。