<狭い部屋に閉じ込められて世界一気の毒なクマと呼ばれたシロクマのピザが、両親の下に帰ることになった。ただし設備拡張が済めばまだ引き戻されるようだ。人々は元の動物園は閉鎖するよう訴えている>

「世界一かわいそう」と呼ばれたシロクマの「ピザ」が、中国・広州市にあるショッピングモール「グランドビューモール」(正佳広場)での窮屈な環境から、生まれ故郷の海洋公園に一時的に移送されたとモール側が明かした。ピザの境遇に対しては、動物愛護運動家たちから非難の声が数多くあがっていた。

 行先は明らかにされていないが、ピザは、中国北部にある海洋公園で両親と再会することになっている。

 グランドビュー水族館がソーシャルメディアに投稿したお知らせには、「多数のお客さまに愛されている『赤ちゃんグマ』のピザは、しばらく皆さまとお別れし、パパとママが待つ生まれ故郷に帰ることになりました」と書かれている。このお知らせによると、今回の引っ越しの目的は、同水族館の飼育スペースの「最適化とアップグレードを図る」ためだという。

日の当らない部屋で

 ピザが「世界一かわいそうなシロクマ」として知られるようになったのは、動物愛護団体「アニマルアジア」が公開した映像がきっかけだった。映像には、小さなプールが1つしかない、40平方メートル未満の飼育スペースでピザが暮らしている様子が映し出されていた。

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 また別の動画では、ピザは一日中日の当らない部屋でぐるぐる回り、来場者たちのカメラのフラッシュを浴び続ける。ときにはくるったように首を振りながら走ったり壁に体当たりして、明らかにストレスに苦しんでいる様子も見せた。

 イギリスのヨークシャー野生動物公園は2016年9月、グランドビュー水族館で窮屈な生活を送る「世界一かわいそうな」シロクマを救うことを決意。同公園内にある、シロクマ専用に設計された飼育施設でピザを受け入れると申し入れていた。

 広州日報紙によると、今回のアップグレードでピザの飼育スペースは2倍の大きさになるというが、グランドビュー水族館に関しては、これまでに百万人近くが、閉鎖を求めて嘆願書に署名を行ってきた。動物愛護団体は今回の措置を歓迎する一方で、ピザを移送先に永住させるべきだと主張している。

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 中国国営の環球時報が9月に報じたところによると、広州市海洋漁業局は、同水族館で不審な死を遂げた動物たちに対する責任をめぐって、グランドビュー水族館への調査を開始したという。

ジャック・ムーア