2位以下に7打差をつけるトータル23アンダー。『三井住友VISA太平洋マスターズ』で圧勝劇をみせつけた松山英樹。10月に入ってからは4戦3勝で大会前の世界ランキングは7位。まさに“看板どおり”の活躍を見せたわけだが、世界トップランカーと国内ツアーの選手の差を、JGTOトーナメント担当理事で同大会のホールロケーションを担当した田島創志氏にコースへ向かう姿勢の観点で語ってもらった。
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■ 「英樹一人が20アンダー超!ほかの選手は14〜15アンダー」が大会前の予想
 最終日はそれまでの3日間と違い、フロントナインで3バーディ・2ボギー・1ダブルボギーと苦戦。ハーフターン時の2位・宋永漢(ソン・ヨンハン/韓国)との差はスタート時“6”から“3”となったが、「上がりのホールが難しくなるし、早く差を広げたかった(松山)」とここから11番、13番、15番、16番と、4つのバーディを奪って突き放した。結果的に23アンダーのトーナメントレコードを樹立したが、コースセッティングに携わる身としては“予想通り”だったという。
 「ハーフターンで松山とヨンハンがかなり近づいた。それまで会話をしていたのにしなくなりましたよね。一番のターニングポイントは11番のロングホールで先にバーディを取ってプレッシャーをかけたこと。トドメにとなったのは13番パー3のティショットですね。そこからはつねにショットが枠に収まっている状態になってきた。大会前から英樹ひとりだけは簡単に20アンダーを超えてくるだろうなと言っていました。“英樹が圧勝して、ほかの選手は14〜15かなと”。優勝スコアは正直“想定通り”でしたね」
 最終日はターゲットを狭めたメリハリのあるピンポジションを設定しただけに、ほかの選手よりも高弾道で打てる松山が最も有利なのは当然。象徴的だったのは17番228ヤード・パー3だ。
 「松山は6番アイアンで打って、落ちてから1ヤードの範囲で止まっています。ですが追う立場のヨンハンはユーティリティで打ったことでランが出て、奥にいってしまった。ボールの高さが人一倍…いや人二倍くらいある部分は大きな差になります。ただ、ホールロケーションを担当する立場として、日本ツアーの選手にもそういうボールを打てるようになって欲しいというメッセージも込めているつもりです。松山が4日間のスコアを通じて、若い選手に何が足りないか…今後につながる大きな差を見せてくれた。これだけのプレーを見せてくること自体が、彼からに日本ゴルフ界への恩返しです。世界に出て活躍し続けるということがどういうことか…。そのメッセージを受け止めたいと思います」
■ 松山が語った“日本は1日でもハマれば勝てる”の意味は…
 「日本のツアーは“1日ハマれば勝てる”ということがわかってきた。アメリカでは3日間ハマらないと勝てない。(理由は)選手層とコースセッティング両面」というのは優勝会見で松山が放った言葉。
 今大会4日間での通算ドライビングディスタンス(※各日2ホール計測)が1位となった松山の飛距離(301.25ヤード)と高弾道ショットは、もちろん他の選手にはない大きなアドバンテージだが、仮にその部分を抜きにしても日本勢には成長を阻む“慣れ”が存在するという。
 「日本ツアーの選手はどうしてもピンを外して打つ選手は多い。ロケーション的に“あそこは寄せづらいからまずグリーンセンターに打っていこう”という状況に慣れてしまっている。“まず第一にピンを目がけて打っていく、ミスをしたらアプローチでカバーする”というゴルフに慣れていかなければいけません。そうすると厳しいセッティングでスコアを出すことに慣れていくんです。僕がプロゴルファーとしてピンポジションに携わることで決めているのは“絶対にセーフティに打たせたくない”“ピンを狙っていったらご褒美があるよ”と伝えることです。アメリカのフィールドで戦う選手はそういう状況に“慣れて”います。
 これは選手だけの問題ではなく、これまでのコースセッティングで“ピンを狙い打ちしても寄らない”という状況も多かったという問題点もあります。日本ツアーは僕がプレーしてきた経験でも“ピンを外したほうがラクになる状況”が結構多かった。だから自然に“とりあえずショット”が増えていく」
 松山の言葉は“日本では1日ビッグスコアを出せば、4日間を通じて上位争いができる。それは日本ツアー全体に守っていても競り合えるという意識が定着してしまっているから。その意識では米ツアーのフィールドでは、あっという間に置いていかれる”というメッセージでもあるか…。
 「“ティショットをフェアウェイに置けたら、全部ピンに打っていけよ”と。それを徹底すれば日本ツアーのレベルアップにつながる。厳しいピンポジションを“守らざると得ない状況”から“狙っていける状況”にしないと。今大会はもちろんその考えに基づいたセッティングにしたつもりです。そこで彼が“ハイスコアはこうやれば出せるんだよ”という意識を身をもって示してくれたと思います」
【解説・田島創志/1976年9月25日生まれ。ツアー通算1勝。2000年にプロ転向し、03年『久光製薬KBCオーガスタ』で初日から首位を守り、完全優勝。青木功JGTO(日本ゴルフツアー機構)体制では、トーナメント管理委員会 コースセッティング・アドバイザーを務める】
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